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( 2011.05.06 )


 菅直人首相は6日夜、首相官邸で緊急記者会見を行い、中部電力浜岡原発( 静岡県御前崎市 )について、すべての原子炉を停止 するよう中部電力に要請したと発表した。





( 2011.05.06 )


 菅直人首相は6日夜の緊急記者会見で、浜岡原発の運転停止を、中部電力への 「要請」 という形式で求めた理由について 「指示や命令は、現在の法制度では決まっていない」 と述べ、現行法では運転停止命令はできない と説明した。





( 2011.05.06 )

「東海地震に十分対応できるよう防潮堤など中長期対策が大切」

 菅直人首相は6日夜、首相官邸で記者会見を開き、静岡県御前崎市にある中部電力の浜岡原子力発電所の運転停止を要請したことを明らかにし、 「東海地震に十分対応できるよう防潮堤の設置など中長期の対策を確実に実施することが大切だ」 と述べた。 記者会見の詳報は以下の通り。

 「国民の皆様に重要なお知らせがあります。 本日、私は 内閣総理大臣として 海江田( 万里 )経済産業大臣を通じて、浜岡原子力発電所の全ての原子炉の運転停止を中部電力に対して要請 しました。 その理由は何と言っても国民の皆様の安全と安心を考えてのことです。 同時にこの浜岡原発で重大な事故が発生した場合の日本社会全体に( 与える )甚大な影響も合わせて考慮した結果です。 文部科学省の地震調査研究推進本部によれば、これから30年以内にマグニチュード8程度の想定の東海地震が発生する可能性は87%と極めて切迫しています。 こうした浜岡原子力発電所の置かれた特別な状況を考慮するならば、想定される東海地震に十分対応できるよう防潮堤の設置など中長期の対策を確実に実施することが大切です。 国民の安全と安心を守るためにはこうした中長期対策が完成するまでの間、現在、定期検査中で停止中の3号機のみならず運転中のものも含めて全ての原子炉の運転を停止すべきと私は判断しました。 浜岡原発では従来から活断層の上に立地する危険性などが指摘されてきましたが、先の震災とそれに伴う原子力事故に直面して私自身、浜岡原発の安全性についてさまざまな意見を聞いて参りました。 その中で、海江田経済産業大臣とともに熟慮を重ねた上で、内閣総理大臣として本日の決定をいたした 次第です」

 「浜岡原子力発電所が運転停止をしたときに、中部電力管内の電力需給バランスに大きな支障が生じないように、政府としても最大限の対策を講じて参ります。 電力不足のリスクはこの地域の住民の皆様をはじめとする全国民の皆様がより一層、省電力、省エネルギー、この推進をしていただけることで、必ず乗り越えていけると私は確信をいたしております。 国民の皆様のご理解とご協力を心からお願い申し上げます」

―― 中部電力は東海地震の揺れが起きても安全性の問題がないとし、国も容認してきた。 なぜ浜岡原発だけなのか。 夏場を迎え原子炉すべてを止めれば、電力需要よりも供給量が下回ると思うが対策はどうか
  「只今、申し上げましたように浜岡原子力発電所が所在する地域を震源とする、想定される東海地震が、この30年以内にマグニチュード8程度で発生する、そういう可能性が87%と文科省、関係機関から示されております。 そういう浜岡原発にとって特有といいますか、その事情を勘案をして、国民の安全安心を考えた結果の判断、決断であります。 また、電力不足についてのご質問でありますけれども、私は、これまでの予定の中で言えば、多少の不足が生じる可能性がありますけれども、この地域をはじめとする全国民のみなさまの理解と協力があれば、そうした夏場の電力需要に対して十分、対応ができる、そういう形が取り得るとこのように考えているところです」
―― 浜岡原発だが、どういった法律のどういう根拠に基づく要請なのか。 法的な担保がない場合、中部電力が断ったらどうするつもりか
  「この要請に関して後ほど、海江田経済産業大臣から詳しくご報告をさせていただきますけれども、基本的にはこの私が今日申し上げたのは、中部電力に対する要請であります。 法律的にいろいろな規定はありますけれども、指示とか命令という形は現在の法制度では決まっておりません。 そういった意味で、要請をさせていただいたということであります。 もう1点は?」
―― 中電が断ったらどうするつもりか
  「ここは十分にご理解をいただけるように説得をしてまいりたい。 このように考えております」




( 2011.05.07 )
自民・山本政審会長


 自民党の山本一太政審会長は6日夜、菅直人首相が中部電力に浜岡原子力発電所のすべての原子炉を停止するよう要請したことについて 「唐突な感じだ。 エネルギー需給などを中部電力や関係省庁と本当に議論をしているのか。 菅首相は内閣支持率を上げたいという一心で、行き当たりばったりで動いているとしか映らない」 と批判した。





( 2011.05.07 )

 「国策なら全原発止めるべきだ」
   


 政府からの突然の浜岡原発停止要請は、地元の静岡県に波紋を広げた。

 海江田万里経済産業相が5日に浜岡原発を視察した際、 「中部電の津波対策は不十分」 と指摘した川勝平太知事は6日夜、 「福島第一原発の事故を受けて安全確保に対する地元の要望を最優先した菅直人首相と海江田経産相の英断に敬意を表する」 と談話で発表。

 知事は 「国は地元経済への影響にも適切に対応しなければならない。 県は省電力、省エネルギー対策にこれまで以上に取り組み、安全な代替エネルギーの確保を加速するように全力を挙げて取り組む」 と訴えた。

 同県の小林佐登志・危機管理監は、原子力安全・保安院に静岡に来て要請の真意を説明するよう求めるとともに、 「原子力政策は国策。 国から要請があれば受け入れるのは当たり前。 地元交付金の問題をはじめ国に要望したいこと も出てくるだろうから、国には対応していただきたい」 と国に丁寧な対応を求めた。

 一方、浜岡原発地元の御前崎市の石原茂雄市長は 「昨日( 5日 )、海江田大臣が来て地元の意見を聞いてから3号機の稼働を判断するといっていた翌日にこの発表。 愛情がない。 40年余り国のエネルギー政策に協力してきたのは何のためだったか。 国策というなら国内の全原発を止めるべきだ と反発した。

 同市原子力対策室の男性担当者は 「首相の会見を聞いて市役所に飛んできた。 寝耳に水だ。 事前に( 地元には )連絡はまったくなかった」 と当惑した様子。 地元関係者の中には、「( 菅首相には )展望がないのではないか。 原発関係者が納得するわけがない」 との声も出ている。





( 2011.05.07 )
与野党反応
自民・石原氏 「電力供給はどうなるか」

石原伸晃自民党幹事長 「電力供給はどうなるか、今後のエネルギー政策も含めて総合的に判断したのか。 国会で十分な説明を求めたい」
石破茂自民党政調会長 「唐突な感じがする。 いかなる権限で首相が原発停止を要請できるというのか。 その決断をダメだとはいわないが、要請するからには根拠をきちんと示してくれ。 それが政府の責任だ。 とにかく止めろといわれても中部電力も困ってしまうだろう。 このままではあちこちの原発を止めろという話にもなる
東順治公明党副代表 「東海大地震の危険性は前々から指摘されていることだが、なぜ今なのか。 いきなりすぎる。 信じられない。 東西日本の電力周波数の統一など他の手だては十分なのか。 復興に向けて立ち上がろうとしているときに十分な検討を加えた上でのことなのか」
福島瑞穂社民党党首 「首相の英断を高く評価する。 脱原発の未来を切り開く大きな一歩となる。 東海地震が起きる前に決断してくれて良かった」
穀田恵二共産党国対委員長 「浜岡原発は活断層の上にあり、停止要請は当然だ。 これを機に 『安全神話』 との完全な決別が必要だ」
細野豪志首相補佐官 「首相は4月初旬から浜岡原発を非常に意識していろいろな見解を聞いてくるような指示があった。 中部圏の経済に与える影響が最大の懸念だった。 非常に難しい判断だと思う」





( 2011.05.07 )
「なぜ今」
 「海外に誤ったメッセージ」
   原発放棄、信頼は失墜


 6日夕、突然発表された中部電力浜岡原発の運転停止要請で、これまで環境問題やエネルギー安全保障の面から 「化石燃料だけに依存できない」 としてきた日本の原子力政策は真っ向から否定され、関係者に衝撃が走った。 菅直人首相が自ら原発を捨て去ったことに、監督官庁の経済産業省幹部からも 「海外に誤ったメッセージを送りかねない」 との声が上がった。

 「今まで実施してきた政策と矛盾する。 ( 首相は運転停止の )根拠と考え方を示すべきだ」

 日本原子力学会の沢田隆副会長はこう強調し、 「浜岡原発は保安院に求められた対策へ手を打っている。 このタイミングでの要請は不思議だ」 と指摘する。

 エネルギー総合工学研究所・原子力工学センターの内藤正則部長も 「すべての原発を止めるなら筋が通るが、なぜ浜岡原発だけなのか。 対策を重ねることで、運転再開への理解が得られるのか」 と批判する。

 東海地震が懸念される浜岡原発。 今回、経産省原子力安全・保安院が 「より一層の高い信頼性が求められる」 と言及したように、 「世界一危険な原発」 などと指摘されてきた。

 だが、国などはそのたびに、 「お墨付き」 を与え続けた。 浜岡原発をめぐる司法の場においても、平成19年10月の静岡地裁判決は 「( 国の )安全基準を満たせば、重要設備が同時故障することはおよそ考えられない」 として原発反対派の住民側の請求を棄却した。

 中電は、東海地震の規模をマグニチュード( M )8クラスと想定し、耐震性や津波対策を考慮してきたが、技術評論家の桜井きよし氏は 「停止判断は遅かったぐらいだ。 想定を超える地震が実際に起き、条件は正当性を失った」 とする。

 一方で、東京電力福島第1原発の事故を受けても、米国のオバマ大統領が推進政策の堅持を表明するなど、原子力推進という海外の流れは変わっていない。

 そのような中で発せられた 「原発放棄」 に、ある経産省幹部は 「これまでの日本の原子力行政への信頼が失われ、誤ったメッセージを世界に送りかねない」 と危惧を強めた。





( 2011.05.07 )
訴訟恐れた首相の保身
 


 菅直人首相が中部電力浜岡原子力発電所の全面停止を唐突に打ち出した。 実は原発差し止め訴訟によるダメージを恐れただけのようだ が、東京電力福島第1原発事故の対応批判で 「菅降ろし」 に弾みをつけようとした民主党の鳩山由紀夫前首相や小沢一郎元代表は機先を制せられた。 首相の保身術 は思わぬ 「クセ球」 を生むようだ。

 「国民のみなさまに重要なお知らせがあります。 私は首相として…」

 緊急記者会見でこう切り出した首相はいつになく生気に満ちていた。 「首相として」 を何度も繰り返し、自らの決断を強調した。

 だが、首相が事務レベルと協議した形跡はない。 首相周辺は 「会見直前に決めた」 と打ち明け、経済産業省幹部も 「まったく知らなかった」 とこぼした。

 そもそも浜岡原発に関心があったわけではない。 2日に福島瑞穂社民党党首から 「ぜひ浜岡原発を止めてくださいね」 と迫られた際は 「ヒャッハッハッ…」 と笑ってごまかした。

 だが、首相は同日夕、福島氏から弁護士グループが浜岡原発差し止め訴訟を準備していることを電話で知らされる。 「次のターゲットは浜岡原発だ」 。 やっと気付いた首相は、海江田万里経産相に浜岡視察を命じ原発停止に動き出した。

 一方、反首相勢力は、小佐古敏荘東大教授の内閣官房参与辞任後、原発事故を 「菅降ろし」 の軸に据えつつあった。

 「水による冷却を続けている限り放射能流出は止めようがない。 首相は 『時間がかかる』 と私の言うやり方にしなかった ……」

 鳩山氏は6日、滞在先の北京市内のホテルで記者団に、自らが提案した原発の冷却方式を首相に拒否されたことへの怒りをぶちまけた。 首相が 「想定外」 を連発したことにも 「そういう言葉を政治家は使うべきではない。 あらゆる状況で国民の命を守るのが政治家の責務だ」 と非難 した。

 小沢氏も6日に珍しく記者団のぶら下がり取材に応じ、 「海に陸に空に地下に放射能を垂れ流している。 手をこまねいて済む問題ではない。 原発が制御不能に陥っている責任は政治家として重い」 と断じた。

 ただ、 「訴訟怖さ」 からの決断が 「けがの功名」 となり、小沢氏らは戦略見直しを迫られた。

 首相は6日夜、仙谷由人官房副長官と都内のホテルで中華料理に舌鼓を打った。 夜の外食は東日本大震災後初めて。 浜岡停止により政府は原発政策の見直しを根底から迫られかねない が、首相がそこまで先を読んだようには見えない。





( 2011.05.07 )
 

 菅首相が運転停止を要請した中部電力浜岡原発は、近い将来の発生が予想される東海地震の想定震源域のほぼ中央に位置する特異な立地環境にあり、これまでも安全性が議論されてきた。 首相は 「想定外」 の巨大地震と津波が襲った東日本大震災の教訓を重視した形だが唐突な印象は否めず、熟慮の上での判断だったか疑問も残る。

 東海地震は南海トラフ沿いで繰り返し起きる海溝型巨大地震の一つ。 国は30年以内の発生確率を87%と推定し、最大震度7の揺れを想定。 極めて甚大な被害が予想されるため、日本で唯一、直前予知を目指す態勢を敷いている。

 日本の沿岸部には多くの原発があるが、国が巨大地震を高い確率で具体的に想定している点で、浜岡原発は特異な存在だ。 東海地震の警戒宣言が出た場合、同原発は停止されるが、予知が成功する保証はない。

 中部電力が平成19年に作成した津波評価では、安政東海地震( 1854年 )の6メートルを過去最大とした上で、数値計算により8メートルを想定。 海岸沿いにある標高10~15メートルの砂丘を越えないため 「安全」 とした。

 しかし、大震災では国や電力業界の想定を大幅に超える巨大地震と津波が発生し、従来の評価法が未熟だったことを露呈。 国の中央防災会議は南海トラフ沿いの大地震が3つ連動する可能性を視野に、巨大地震の想定を再検討する方針を決めており、浜岡原発の安全評価は揺らいでいる。

 

 





( 2011.05.07 )
浜岡停止要請
 


 菅直人首相は、中部電力に対して浜岡原子力発電所の 全原子炉について 「運転停止」 を要請 した。 記者会見では、日本のエネルギー政策に及ぼす影響について 「熟慮」 があったとはみえない。 唐突な決断である。

 浜岡原発は東海地震の想定震源域に立地する。 菅首相はマグニチュード( M )8前後の東海地震が30年以内に発生する確率が87%であることを理由に挙げたうえで 「事故が起こった場合には、日本社会全体に甚大な影響を及ぼす」 と説明した。 しかし、こうした 浜岡原発の立地上の特異性は以前から指摘されていたことで、東日本大震災後に新たに差し迫った危険が生じたわけではない。

 国と電力会社と住民は、これらを十分に理解したうえで、安全な運転について合意してきた。 運転停止要請はあまりにも突然で、これまでの合意形成の経緯をも否定する ものになりかねない。

 浜岡原発を止めることによる電力供給減対策も、説明は不十分だ。 住民らの節電で電力不足を乗り切りたいとしたが、運転停止の期間や再開の見通しなど具体的な説明は聞かれなかった。 これでは、国民は国のエネルギー政策そのものを信頼できなくなる。

 加えて、今回の運転停止要請は法律的に規定されたものではない。 原子力委員会など専門機関に諮った形跡もない。 エネルギー政策の根幹にかかわる決定が適正な手続きを経ずに下される ことは、重大な禍根を残すことになりはしないか。

 自民党の石原伸晃幹事長も、 「今後のエネルギー政策も含め、総合的に判断したのか」 と疑問を投げかけた。

 浜岡原発が特別な立地条件にあるのは事実である。 福島第1原発のような事故を繰り返さないためには、一定期間の運転停止も選択肢の一つとして否定するものではない。 しかしそれも、説明と合意の積み重ねが不可欠だ。

 手続きを欠いた菅首相の要請には、原発事故の深刻さをパフォーマンスに利用したような思いを禁じ得ない。 諸外国からは、日本が原発を否定したと受け止められる恐れがある。

 菅首相は今月下旬、フランスで開かれる主要国首脳会議( G8 )に臨む。 今回の原発停止方針は、誤った印象を国際社会に与えないだろうか。





( 2011.05.07 )

  


 細野豪志首相補佐官は7日朝、TBSの番組で、菅直人首相が浜岡原子力発電所( 静岡県御前崎市 )の全面停止を中部電力に要請したことについて 「浜岡を止めたことで、原子力政策全体を止めようということではない」 と述べ、政府の原子力政策の変更につながるものではない との認識を示した。

 細野氏は浜岡原発について 「福島第1原子力発電所と構造が似ている。 作った時期も大体同じだ。 視察したが、完全に私の懸念を払拭することはできなかった」 と指摘。 「4月初旬から、内閣官房参与ら複数の方が 『浜岡原発を調べた方がいい』 という意見をお持ちになった」 と明かした。

 そのうえで 「( 私が )首相の指示を受けて、いろんな方から話を聴き、停止した場合の経済的リスクも含めて首相に説明した。 最も地震の可能性が高く、津波が来たときに心配がぬぐいきれない浜岡原発に関して、( 首相が )政治的に判断したということだ」 と説明した。

 防潮堤の整備が済めば稼働再開を容認するかについては 「( 海江田万里 )経済産業相の判断だ」 と言及を避けた。

 一方、福島第1原発の事故をめぐる東京電力の賠償・経営問題については 「そう簡単に電気料金は上げられない。 補償には東電のリストラ努力が最優先だ」 と強調。 政府・与党内で浮上している東電の国有化論には 「私は民間の事業でやるべきものだと思う」 と述べた。





( 2011.05.07 )
「雇用に影響」
 「地元意見聞いて」
   御前崎市長が不満


 政府が中部電力浜岡原発( 静岡県御前崎市 )の全面停止を要請したことを受け、同市の石原茂雄市長は7日、市役所で記者会見し 「雇用などに大きな影響が出る。 地元の意見をもう少し聞いてもらいたかった」 と不満を示した。

 「( 市議会 )議員は現状のままで安心、安全が実感できる対策を取るべきだとの意見でまとまっている」 と述べ、運転を継続したままでも安全対策を強化できるとの見解を表明。 調





( 2011.05.07 )
首相の停止要請で
 


[ 浜岡原発5号機は海岸に非常に近く、津波の心配が絶えない ]
 中部電力が菅直人首相の原発全面停止要請を受けたことで、原発を抱える全国の電力各社に、困惑と危機感が広がっている。 政府は他の原発への停止要請はないとしているが、政治決断による民間企業に対する要請は、今後、電力各社の経営に介入する可能性を示しており、各社はこの日判断を見送った中部電の対応を慎重に見守っている。

 「あまりに突然で、対策の立てようがない」

 関西電力の幹部は、海江田万里経済産業相から中部電への電力融通協力の要請を受け、とまどいを隠さない。 関電は保有する11基の原発のうち、2基の定期検査を延長して、3基が停止中だ。 中部電支援には原発再稼働が不可欠だが、浜岡原発問題を受け、関電が持つ原発の地元でも、反発は強まっており、浜岡への停止要請が関電の原発稼働の道を険しくした格好だ。

 困惑は関電に限らない。 「状況がよく分からない」( 北海道電力 )、「詳細が不明」( 四国電力 )など、全国の電力各社からは次々と戸惑いの声があがる。

 電力各社は東京電力福島第1原発事故後も、追加の津波対策などを講じ、地元住民の理解のつなぎとめに努めてきた。 しかし、原発推進のプロセスは首相の 「要請」 で崩壊した。 宮崎慶次大阪大名誉教授は 「首相の要請は重い。十分な説明が必要だ」 と首をひねる。 ある電力会社社員がささやいた 「政治介入という不確定要素が経営をゆがめるリスクをどこまで理解しているのか」 が、各社の戸惑いを象徴している。





( 2011.05.07 )

  


 中部電力浜岡原子力発電所が、稼働中の全面停止を要請されるという異例の事態で、電力供給不足懸念が現実となれば、中部地域の製造業に打撃を与えることは確実だ。 特に主力工場が集積する自動車最大手のトヨタ自動車は、部品調達難による減産、円高、海外市場でのシェア低下などの問題を抱え、電力確保が新たなリスクとして重くのしかかる。

 トヨタはおひざ元である愛知県など、中部地域に9工場を持つ。 国内に17ある工場の半数以上だ。

 トヨタは、東日本大震災への対応として、東北地域の2工場で、平日2日を休業とし、代わりに土曜、日曜を稼働させる 「業界輪番休業」 で、東京電力管内で予想される電力供給不足に対応する方針だ。

 今回、中部電力でも電力不足になる可能性が高まり、トヨタは 「輪番休業を( 中部でも )やらざるを得ない」 ( トヨタ幹部 )として検討を余儀なくされた。 その場合、 「休日出勤手当などが必要で、コスト高を強いられる」 ( 自工会首脳 )と負担になる。

 トヨタは、震災による部品調達難で、国内工場の稼働率は約5割にとどまる。 本格回復は 「11月~12月がめど」 ( 豊田章男社長 )と、業績への圧迫も懸念される。

 減産の影響で、稼ぎ頭の北米、中国市場でのシェアを落としている上、5月に入って一時1ドル=79円台をつける円高と、激しい逆風にも見舞われている。 ここに中部地域の電力問題で、コスト増が加われば、業績への打撃は大きくなる。

 中部地域には、スズキやホンダなどの自動車完成車工場、自動車部品メーカー、ヤマザキマザックなどの工作機械メーカー、ソニーのテレビ工場など、大型工場が集積している

 





( 2011.05.07 )

  


 東京電力福島第1原発の事故以来、強まる原子力への逆風下で発表された中部電力浜岡原発の全面停止要請。 運転開始から30年を超える 「老朽炉」 など、他原発もさまざまな問題点を抱える中、明確な根拠が示されない要請に、関係者からは 「なぜ浜岡だけなのか。 『反原発』 の逆風が他原発へ及ばぬようにするのが最大の狙いではないか」 との声が漏れている。




 「浜岡については、法律を超える判断があった」

 菅直人首相が停止要請した翌7日夕。 経済産業省原子力安全・保安院で会見した西山英彦審議官は、監督官庁としての戸惑いを隠せなかった。

 福島第1の事故を受けて電力各社に指示した緊急安全対策の状況を週明けに公表する予定だった保安院の幹部にとっても、発表は寝耳に水。

 保安院は急遽、各原発の対策状況を 「適切に実施している」 と公表したが、浜岡原発については 「一層の信頼性が求められる」 としただけで、京都大原子炉実験所の宇根崎博信教授( 原子力工学 )は 「政府内でどんな議論をして、浜岡原発だけ停止という結論に至ったのか分からず、原子力安全委員会などがどんな判断をしたのかも示されていない」 と批判する。




 政府は、予測される東海地震の震源域に浜岡原発があることを理由に挙げた。

 だが、経産省幹部でさえ 「予測は昨日、きょう判明した話ではなく、東日本大震災で切迫性が増したわけではない。 突然の停止要請の理由としては根拠が薄いかもしれない」 と認める。

 また、全国に54基ある商業用原発では、福島と同様の 「想定外」 の事態が発生する不安は払拭されておらず、営業開始から30年以上たつ原発は19基にも上る。 名古屋大の山本章夫教授( 原子力工学 )は 「老朽化原発などは、より一層の安全対策が求められてしかるべきだ」 と指摘する。




 原発立地を受け入れてきた全国の自治体にも、停止要請の波紋が広がっている。

 「国策として安心安全を実感できると進めてきた。総理の言うことには従うしかないが、もう少し地元の意見も聞いてほしかった」

 浜岡原発の地元、静岡県御前崎市の石原茂雄市長はこう語り、唇をかんだ。

 東電柏崎刈羽原発が立地する新潟県の泉田裕彦知事も 「福島第1の事故では、停止中の4号機も爆発を起こしており、単純に停止していれば安全といえるのか。 ( 停止要請の )前提となる考え方や基準について、国には責任ある説明を求めたい」 とする。

 政府が昨年策定した 「エネルギー基本計画」 では、平成42年までに 「原発を14基以上新設する」 シナリオだったが、見直しは必至。

 宇根崎教授は 「国策の転換になるのに、原子力政策全体を見渡した説明がなされず、立地自治体は納得しない。 『反原発』 の逆風が他原発へ向かうことをそらすため、浜岡をスケープゴートにしたのではないか」 と疑問を投げかけている。





(2011.05.08)

  


 中部電力が結論を持ち越したのは、浜岡原子力発電所の停止分を補う火力発電の手当てや政府の支援策が不透明な中で、安易に受け入れを表明すれば、株主らの反発が避けられないと判断したからだ。

 今回の停止要請は、中部電にとって寝耳に水だった。 6日夜の首相記者会見のわずか約40分前、 海江田経済産業相から水野明久社長に電話があり、 その後、 対応に追われた。 海江田経産相が5日、 浜岡原発を視察した際も中部電には話は全くなかったという。

 名古屋市内の中部電本店で7日午後1時から開かれた臨時取締役会には、水野社長、三田会長ら役員、監査役19人が出席。 会議の冒頭、三田会長が 「( 首相の要請に対し )皆さんの意見や質問を言ってほしい」 と提案。 出席者が業績への影響や燃料調達の見通しなどについて自由に意見を出し合った。 最後に水野社長が 「いろいろな意見を持っているようなのでもう一回考えよう」 と約1時間半の議論を打ち切った。


 
 





(2011.05.08)
中部電力
  

 中部電力は7日、臨時取締役会を開き、浜岡原子力発電所( 静岡県御前崎市 )について、稼働中の原発も含めて全面停止を求める政府の要請を受諾するかどうかを協議したものの、結論を持ち越した。9日に改めて検討する方針だ。

 臨時取締役会では、原発を停止した場合の電力供給力確保策、燃料調達の見通し、業績への影響、津波対策などの論点を1時間半にわたって議論した。 終了後、中部電は 「検討内容が極めて重要で多岐にわたるうえ、利用者、地域住民、株主に多大な影響を与えるため、継続審議とした。 要請内容について迅速に検討する」 などとする談話を発表した。

 一方、民主党の岡田克也幹事長は7日、「政府の決めたことを速やかに受け入れてもらう必要がある」 と、要請の受け入れを促した。





( 2011.05.10 )


 中部電力は9日午後に開いた臨時取締役会で、菅直人首相の要請を受け入れ、浜岡原子力発電所( 静岡県御前崎市 )の全炉を数日中に停止することを決めた。 東海地震による原発事故への不安解消を優先したことに加え、2~3年後の運転再開へのめどが立ち、菅政権から電力供給などの支援の確約も得られたと判断したためだ。

 水野明久社長が記者会見し 「長期的には、いったん停止し、さらなる安全対策をとった上で運転再開することがお客様、株主にとって利益があると、取締役の意見が一致した」 と述べた。

■ 中部電力が国に確認した事項( 骨子 )
防潮堤の建設など中長期の地震・津波対策が完了した時の浜岡原発の再開
浜岡原発の安全対策が、国民に安心してもらうための措置であることを、国が周知
顧客や株主に負担をかけないため、原発停止に伴って生じる追加費用軽減への支援
電力の需給バランスが崩れることへの支援
原発の立地自治体への十分な説明や交付金、雇用など地域経済への配慮

 水野社長は8日に海江田万里経済産業相と電話会談し、防潮堤建設など津波対策を終え、経産省原子力安全・保安院の評価を得た時には全面再開できることなど5項目を確認した=左表。 停止に伴う火力発電所の燃料費増加に対して国が支援することも含まれている。 中部電は2~3年はかかるという防潮堤建設を急ぐ。
 中部電の発電電力量に占める浜岡原発の比率は2010年度実績で約15%。 今後、停止中の武豊火力発電所( 愛知県武豊町 )3号機を急きよ稼働させ、東京電力や東北電力への融通をとりやめる。 それでも、需要ピークを上回る余裕電力の比ボは、7月には、適切とされる8~10%を大きく下回る2%まで落ち込むため、関西電力など西日本からの融通も求めて、計画停電の回避に努力する。 企業や家庭へ節電も呼びかける。
 一方、中部電は1300億円の営業黒字を見込んでいた12年3月期業績見通しを白紙に修正した。 原発停止分をすべて火力発電でまかなえば、年間2500億円の費用が余計にかかる計算。 料金を値上げしない場合、初の営業赤字の可能性もあるが、水野社長は 「現行料金の中で努力していきたい。 値上げは現時点では考えていない」 と述べた。
 中部電が浜岡原発の全炉停止を決めたことを受け、菅首相は9日、記者団に 「電力が足らなくならないよう力を入れたい」 と話した。
 海江田経産相は臨時の記者会見で 「迅速に対応していただいたことに深い敬意を表したい」 と述べ、 「金融支援などを最大限検討する」 と表明した。 浜岡原発停止後の周辺自治体への交付金についても 「2年間はこれまで通り交付され、2年後以降も減額されない」 と明言。 一方、浜岡原発以外の現在運転中の原発の継続や、定期検査中の原発の再開については 「安全上支障がないと考える」 とした。


 東京電力福島第一原発の事故は、想定を超える高さの津波で非常用電源が使えなくなり、原子炉の温度が上がって水素爆発したと考えられている。 浜岡原発では、津波から原子炉建屋を守る十数メートルの防潮堤を2~3年後に完成させれば再稼働の条件が整う ――。 それが中部電の考えだ。
 しかし、浜岡原発の危険性の本質は津波ではなく、巨大地震による激しい 「揺れ」 にある。

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  By 鳩ぽっぽ( 前総理 )


 
  






 日本の原子力施設の中で、今までに脚光を浴びたものの一つに高速増殖炉 「もんじゅ」 がある。
 高速増殖炉とは、単純化していえば、消費した以上の燃料( プルトニウム )を生み出すことができる原子炉のこと。 かつては 「夢の原子炉」 と期待されていた。 最近では、昨年中国が臨界実験に成功したが、運転中の実証炉は現在では皆無である。
 高速増殖炉は福島第1原発のような 「軽水炉」 ではない。 後者が冷却材に軽水( 普通の純水 )を利用するのに対し、前者は液体ナトリウムなどの溶融金属を利用する。
 弱点は、この液体ナトリウムの制御が難しいことだ。 1995年12月、もんじゅはナトリウム漏洩火災事故が発生して運転を休止。 その後2011年春の発電を目指し、10年5月に運転を再開したものの、同8月には炉内中継装置が原子炉容器内に落下するという事故を起こした。 落下した中継装置とは、燃料棒を交換するために必要なもので、中継装置がなければ発電できないだけでなく、運転を休止することもできない。 引き揚げ作業はこれまですべて失敗。 今後は数十億の保全費と別に、装置回収に使う器具等の製造に伴い、さらに約17億円かかるという。 総額2兆円以上をつぎ込んだ 「夢の原子炉」 は 「危険な超・粗大ごみ」 と化す可能性も出てきた。
 震災により制御不能に陥った原発のほかに、国内にはもっと危険な施設が存在する。 原発だけでなく、こうした他の原子力関連施設の再点検も不可欠である。






( 2011.05.10 )

  


 中部電力浜岡原発の全炉停止は、中部電だけでなく、東京電力や九州電力にも影響が及んでいる。 電力会社は隣接していなくても、 「玉突き」 のかたちで電力を融通し合っているためだ。

 東京電力は発電設備の復旧や新たな電源確保を急ぐ一方、中部電などから100万キロワットの融通を受ける予定だった。 ところが、浜岡の停止で中部電は東電に融通できなくなった。 東電幹部は 「100万キロワットが飛んだら、どこから持ってくるのか」 と焦る。

 菅政権は東日本の電力需給対策を10日に決める予定だったが、延期の方針。 中部電から東電への融通ができなくなり、見通しが変わる可能性があるためだ。

 電力各社は、普段から電気を融通し合っている。 電気事業者などでつくる電力系統利用協議会が、電力会社間で融通できる送電能力を公表している。

 中部電から東電に送ることができる電力は103万キロワット。 公表された送電能力は 「目安」 で、もっと大きな電力を流せることもある。 だが、中部電から東電への送電は、周波数を60ヘルツから50ヘルツに変える周波数変換所を通す必要がある。 いまのところ103万キロワットが送電の限界だ。

 海江田経産相は中部電に原発停止を要請した後、関西電力に東電への電力融通を依頼した。 関電から中部電への送電能力は250万キロワット。 このうち東電に玉突きで100万キロワットを渡すと、中部電の取り分は150万キロワット。 北陸電から30万キロワットの融通を受けると、7月の中部電の供給力は2795万キロワットに高まり、計算上は夏のピーク時に9%の供給余力を確保できる。

 もっとも、融通は余力があることが前提。 しかし、西日本の電力各社にいま、余力があるとはいえない。

 九州電力は、中部電から40万キロワットの電力融通を5月から受けているが、浜岡原発の停止で融通が打ち切られることになった。 九電は玄海原発2、3号機の再開見通しが立たない。

 定期検査に入った原発は東日本大震災後、まだ全国で1基も運転を再開していない。 福井県内に11基の原発を持つ関電は、3基が定期検査で停止中。 さらに3基が定検に入る。 幹部は 「再稼働できないと関電も厳しい」 と打ち明ける。

 余力の確保には原発の再起動がかぎを握る。 それには地元自治体の理解が欠かせないが、福島第一原発の事故で住民には不安が広がっている。





( 2011.05.10 )

 


 浜岡原子力発電所の全面的な運転停止を求めた菅直人首相の異例の要請を受諾することを、中部電力が臨時役員会で決めた。 最高指導者の要請を断る選択はなく、苦渋の判断だった のだろう。

 菅首相は、今夏の電力事情や将来のエネルギー政策への影響も考え抜いたうえで要請したのか。 思いつきとしか思えない首相の決断の波紋は極めて甚大である。

 まず懸念されるのが夏に向かって増える消費電力への対応だ。

 政府は、浜岡原発の運転停止による中部・東海地方の電力不足分の穴埋めとして関西電力の協力をあてにしている。 海江田万里経済産業相が関電に、中部電への電気融通を要請しているものの、関電の原発依存度は国内電力会社中、最も高い部類で50%以上の構成になっている。 それだけに過度の原発安全策の影響を受けやすい。

 福島第1原発事故のあおりなどで現在、関電の全原発11基中、営業運転をしているのは、7基にすぎない。 夏には定期検査でさらに2~3基が止まる見通しだ。

 中部電管内には、トヨタ自動車をはじめとする大企業が集まった中京工業地帯が存在する。 電力不足に伴う電気の周波数の乱れや大停電が起きれば、日本のものづくり機能はとどめを刺される。

 中部電の発電余力の減少は、首都圏の電力不足にも拍車をかけよう。 水野明久社長は9日の受諾会見で、従来、東電に火力発電所用の燃料や電力を融通してきた側面支援を打ち切ると表明した。

 菅首相が、関係者への相談も事前の検討も抜きにして突然打ち出した浜岡原発の全面停止要請は、日本国内での電力不足の連鎖反応を引き起こし得るのである。

 国境を越えて電力網が覆う欧州と異なり、日本は他国から電力供給を受けられない。 福島原発事故の余波で脱原発に傾くドイツなどとは事情が違うのだ。 そうした差異を首相は理解しているのか。

 海江田経産相は中部電の受諾を受け、中長期対策を講じた後の浜岡原発の運転再開と安全性についても、 「国として責任を持つ」 と言明した。 政府は中部電に過度の負担がかからないよう全面支援するとともに、首相自身の言葉で、原子力エネルギーの必要性を国民に語らなければならない。

 







 





( 2011.05.12 )


 5月6日夕方、菅直人首相が突然発表した中部電力浜岡原子力発電所の停止要請は、 だった。

 メディアには、首相決断を 「政治主導」 として評価する論調が目立ち、在日韓国系金融機関の元理事から政治献金を受けていたことが判明して辞任直前だった2ヵ月前の状況が、まるでウソのようだ。

 そんな中、首相の違法献金受け取りの告発が5月10日に東京地検特捜部に受理されたというニュースもほとんど無視され、「産経」社会面に報じられただけだった。

 報道や世論で高く評価されている 浜岡原発停止要請の根拠は 「30年以内にマグニチュード8程度の想定の東海地震が発生する可能性は87%と極めて切迫している」 ことだ と首相は述べた。

 数字は具体的であるがゆえに説得力をもちがちだ。 首相が引用したのは文部科学省地震調査研究推進本部の数字だったが、首相が本部長を務める福島原発事故対策統合本部も、30年以内に震度6強以上の地震が起きる 各原発の、今年1月1日時点での確率 を発表 した。

 その中に興味深いもう一つの数字がある。 浜岡原発の危険度が84% と際立って高いのは同じだが、福島第1原発の確率は0.0%、福島第2原発は0.6% となっている。

 今年1月に発生率0.0%と分析されていた地域に、3月、マグニチュード9.0の大地震が発生したのだ。 地震予知の難しさを示す事例であり、それだけにこの種の数字だけでは浜岡原発の停止要請は説得力に欠けると考えたのか、首相は6日夕方の会見で、 「浜岡原発が東海地震の震源域内にある」 ことをもうひとつの理由として掲げた。 しかし、これさえも今回の事例に明らかなように、震源区域と見られていない場所で巨大地震が起きたことを考えれば、危険なのは浜岡だけで、他は安全だという首相の言葉の信頼性を支えるものではない。

 一方、中部電力は寝耳に水の首相要請を重く受けとめた。 火力発電に移行するために、たとえ年間2500億円の追加経費がかかっても、安定した電力供給のために死に物狂いの努力を迫られ、初めての赤字決算が避けられないとしても、彼らにとって首相要請を断る選択は、政治によるしっぺ返し と世論の原発不信の前ではあり得なかっただろう。

 こうして、現在合計出力250万キロワットの4号機と5号機、定期点検中の3号機を加えると360万キロワットの浜岡原発は早晩停止され、東京電力向けに行ってきた75万キロワットの電力融通も止まる。 電力供給が減少するなかで求められるのが他社の定期点検中の原発の運転再開である。

 日本の原発54基中、大災害で15基が停止した。 現在20基が営業運転中だが、内6基は夏までに定期検査で停止する。別の12基は定期検査ですでに停止中だ。 さらに定期検査を終了して運転再開の予定だった7基がいま、東日本大震災と首相の浜岡原発停止要請の根拠の曖昧さで、再開延期となっている。日本の電力供給はまさに風前の灯、心許ない状況に陥っている。

 再開延期の理由は、これまで再開に前向きだった九州電力玄海原発を擁する佐賀県の古川康知事や、関西電力美浜原発を擁する福井県の西川一誠知事ら各地の首長らが、浜岡原発と地元の原発の違いを住民に説明できないでいるからだ。 原発の運転再開は地元住民や国民全般の同意なしには難しい。 浜岡原発が否定されるとき、なぜ地元の原発だけは安心だといえるのかについて、合理的かつ詳しい政府説明を知事や首長が求めるのは当然だ。

 対して海江田万里経済産業大臣は、 「他の原発は安全上問題ない」 との 「見解」 を表明し、 「国がしっかりと責任を持つ」 と述べるにとどまり、各地の首長や住民の疑問に答えていない

 首相発言の驚きは、個々の原発の安全性を無責任に論ずることにとどまらない。 10日の会見で首相はいきなりエネルギー政策の大転換を宣言した。 原子力と化石燃料に支えられる2本柱体制から、太陽光など再生可能な自然エネルギーを基幹エネルギーに加え、省エネ社会をつくるという4本柱体制にすると語った。 昨年民主党政権が決定したエネルギー基本計画 2030年までに原発を14基以上増やし、CO2を出さない原子力などが総電力に占める割合を70%にする という決定を白紙に戻すと宣言したのだ。

  エネルギー戦略は、国防と外交に匹敵する重要事だ。 決定には国益を踏まえた十分な議論が必要だ。 しかし、首相宣言の背景にはそうした党内議論の裏打ちはない。 国家戦略も見えてこない。

  政府内で議論が行われた痕跡がまったくない中で、 細野豪志首相補佐官は、 首相は4月上旬から浜岡原発について考えていたとの見方を示している。 首相は少数の側近とはかって浜岡原発停止要請への世論の反応などをひそかに探っていたとの見方も報じられている。 国家のエネルギー政策よりも支持率挽回や政権の求心力回復を優先して思案していたと言われても弁明できないだろう。

 。 国益や国家戦略を欠いた首相の思考と、民主主義のプロセスをとび越えた首相の手法こそ、





( 2011.05.14 )


原発立地自治体

 原発を抱える自治体の首長たちは浜岡原発の停止をどう受けとめたのか。
 「浜岡原発は止めて、ほかの原発はどうなのか。 立地自治体はそれで悩んでいる」。 柏崎刈羽原発( 東京電力 )の地元、新潟県柏崎市の会田洋市長は、そう話す。 原発との共存を探つてきた。 「長い間、国のエネルギー政策に協力してきたのに、地元への説明もなくいきなり止める。 立地自治体はみな憤慨している」
 全国最多の13基の商業炉に加え、高速増殖原型炉 「もんじゅ」 も海岸線に並ぶ福井県の西川一誠知事も疑問を唱え続けている。 13日の記者会見でも 「浜岡だけに停止を要請した合理的な理由が明らかにされていない」 と繰り返し、 「日本全体の電気供給にどんな影響が出ると見越しているのか、政府は明らかにすべきだ」 と注文をつけた。
 玄海原発( 九州電力 )を抱える佐賀県の古川康知事は 「浜岡を止めるのが、中長期的な対策がとられるまで待てないという理由なら、論理的にはどこの原発も同じはずだ」 と発言。 同じように、浜岡原発だけを選んだ政府の判断に疑問を示す。
 一方、泊原発( 北海道電力 )がある北海道の高橋はるみ知事は 「想定外の地震が起きた現状の中で、東海地震の発生の可能性が迫る地域のまっただ中にある原発をストップすべしというのは、国民感情的に理解できる」 と停止を肯定的に評価する。 ただ、泊原発については 「いかなる根拠があって浜岡と取り扱いが違うのか、しっかりと政府から説明を受けなければならない」 と述べ、やはり政府に説明を求めていく方針だ。



 菅直人首相は13日の参院予算委員会答弁で、浜岡原発の全原子炉停止を中部電力に要請したことについて、「私の政治的な判断、( 海江田万里 )経済産業大臣を含めた政治判断で、評価は歴史の中で判断してほしい。 国民の安全と安心のための決断だ」 と述べた。






 


 今月に入ってから、菅政権は日本を確実に衰退させる間違った政策決定を2つも行ないました。 1つは浜岡原発の停止であり、もう1つは東電救済スキームの決定です。



 浜岡原発の停止という方向性自体は正しいと評価することができます。 それでも、菅政権の決定は今後に禍根を残すものと言わざるを得ません。 それは、決定のプロセスがあまりに杜撰 だからです。

 まず、浜岡原発を停止させた場合、それが中部電力管内はもとより日本全国の電力需給にどのような影響を及ぼすのか、そしてそれが産業や経済にどのような影響を及ぼすのかを事務的にしっかりと詰めた形跡はありません。

 しかし、例えば中部電力は東京電力に100万キロワット弱の電力融通をしていること、中部電力管内は日本の製造業の中核で供給電力の半分が産業用途であることなどを考えると、浜岡原発の停止の影響は当然大きいのであり、それをしっかりと詰めることなく決定するというのは、論外です。

 更に問題なのは、浜岡原発の停止要請を菅総理が行なったというのは、官邸が原子力安全・保安院の判断は信用できないと公に認めた に等しい ということです。

 福島第一原発の事故が起きてから、原子力安全・保安院は日本全国の原発に対して緊急安全対策を講じるよう指示を出しました。 そして、菅総理が浜岡原発の停止を要請した同日に、浜岡を含むすべての原発がそれをクリアしたと発表しています。 それなのに菅総理が浜岡原発の停止を要請しているのです。

 その根拠は大地震が起きる確率という確率論ですが、新潟中越地震も東日本大震災もその確率が非常に低い場所で起きました。 つまり、何%なら安全とは言えないのです。 となると、原発を地元に擁する自治体は当然疑心暗鬼にならざるを得ませんので、定期点検中の原発の再稼働は非常に難しくなるでしょう。 その結果、電力不足がドミノ倒しのように全国に広がる可能性が非常に高くなってしまったのです。

 そうした大きな問題があるにもかかわらず、なぜ菅総理は性急に浜岡原発の運転停止を決断したのでしょうか。 小沢一郎氏側が浜岡を含む原発問題で政局を仕掛けようとしていたので機先を制して発表した、という噂がありますが、そのような政局的な理由だけから日本経済に深刻な影響を与える決断をしているとしたら、それは論外です。




 一方で、東電の救済スキームがほぼ決定されました。 “ほぼ”という理由は、本当は昨日の関係閣僚会合で決定されるはずが、菅総理の判断で先送りされたのですが、その内容はこれまで報道されてきたものと基本的に同じで、このコーナーで何度か指摘した問題点がそのまま残っています。

 東電に徹底的な資産売却や内部留保吐き出しを迫っておらず、減資も金融債権カットも予定されていません。 かつ、原発事故の責任の一端があるはずの国は、原子力推進予算を賠償に回すとか原子力埋蔵金を吐き出すこともしていません。

 スキームの文言上は電力料金値上げに頼る姿勢は控えられていますが、実際には、東電・金融機関・政府の痛みはほとんどなく、最後は電力料金値上げを通じて国民に負担を転嫁 しようとしている のです。

 加えて言えば、スキーム上は東電が賠償について無限の責任を負い、未来永劫かかってでも機構に賠償金を返済し続けるとなっていますが、それは裏を返せば、賠償のために東電をずっと存続させることを意味し、原発事故による電力供給の不安定化の原因でもある発送電一体・地域独占という電力供給体制を変える気はまったくないのです。

 ただ、このスキームについては希望を持てる点が2点あります。

 1つは、スキームを作る過程で経産省の官僚は、東電にリストラを徹底させるためにも、火力発電所の売却を迫ろうとしていたようなのです。 これは、リストラの徹底という観点と電力供給体制の変革という観点から非常に正しかったのですが、残念ながらすぐに叩き潰されました。 それでも、こうした正しい主張があったことは、今後への希望となり得ます。

 もう1つは、このスキームを確定して機構を設立するには法律が必要であるということです。 当然、法律案が提出されたら国会で議論されることになりますので、ここで自民党をはじめとする野党が正論を主張すれば、正しい内容に修正される可能性はあります。 東電の政治的な影響力の凄さを考えると不安も感じますが、野党はいよいよその真価を問われるのではないでしょうか。


Value of JAPAN

 以上のように、今月に入ってからの菅総理の2つの決定で、短期的のみならず中長期的にも、全国的な電力不足と電力料金値上げが 日本経済の成長の制約要因 となる可能性が高くなってきました。 企業が日本を見捨てて海外に逃避する 可能性も同時に高まっています。

 加えて言えば、こうした間違った政策決定が、世界における“Value of JAPAN”( 日本の価値 )にも大きく影響することに留意すべきではないでしょうか。

 東日本大震災まで、世界が認める日本の価値の1つは、経済力であり安心・安全・高品質でした。 政権の大震災や原発事故への対応の混迷で、それでなくとも最近は海外での報道は批判的なものの方が多くなっていますが、理念なき浜岡原発の停止( 菅総理の会見では再生可能エネルギーを強調するが、政府の実際の行動は震災前と同じ原子力の推進 )や、市場のルールを無視し、かつ電力供給の独占体制を維持しようという東電救済スキームは、いずれもエネルギーの世界で( フクシマに蓋をして )“震災前”を再現しようとしているに他なりません。

 それは、世界に対して、これだけの大震災と原発事故を経ても日本は自己変革できないというメッセージを発していると同じです。 震災から2ヶ月を経て、既に日本を見る世界の眼は厳しくなっていることも意識すべきではないでしょうか。

 そう考えると、こういう支離滅裂な亡国の選択をする菅政権は早く倒れるべきではないでしょうか。 被災者への思いやりはいつまでも忘れてはいけませんが、そればかりに終始せず、国民が怒るべき時が来たのではないでしょうか。





( 2011.06.18 )

  


 海江田万里経済産業相が18日、原発再稼働の要請方針を示したことに対し、原発立地道県の知事に姿勢を尋ねたところ、 「適切」 とした安全対策への疑問の声が噴出、現時点での受け入れを表明する知事はいなかった。 原発の運転に関して知事に法的権限は無いが、電力会社と道県などの協定もあり、知事の同意無しの稼働は困難とみられる。 経産相は近く福井県と九州を訪問する方針だが、慎重姿勢を見せる知事の説得など、各地で紛糾するのは必至の情勢だ。

 取材に応じなかった福井県知事と連絡が付かなかった茨城、鹿児島両県知事を除く10道県知事が取材に応じた。 現在、国内の商業用原発54基のうち37基が停止中( 調整運転を含む )。 運転中のうち5基が8月末までに定期検査に入る予定で電力需給の逼迫ひっぱくが懸念されている。 海江田経産相は同日の会見で、シビアアクシデント( 過酷事故 )対策に関し、適切との評価結果を公表した。

 適切と判断した根拠の説明を求める知事は多く、溝口善兵衛島根県知事は 「国が指示し、電力会社が実施する安全対策で十分かチェックする必要がある」 と国の方針をうのみにできないとの姿勢を堅持。 新潟県の泉田裕彦知事は 「安全性について論評に値する内容が無い」 とコメント。 「本県の技術委員会の質問に国は回答していない」 と不快感も示した。

 原発事故の現場となった福島県の佐藤雄平知事は 「再稼働はあり得ない」 と従来通り断言。 菅直人首相判断で運転停止となった静岡県の浜岡原発は、今回の経産相方針でも対象外とみられ、川勝平太知事は 「再開のさの字も出る状況ではない」 と現状を語った。

 浜岡原発と他の原発との違いについて説明を求める知事も複数いた。 福井県は、県幹部が 「原発の高経年化対策や、浜岡原発のみに停止を命じた判断根拠などが示されなければ、定期検査中の原発の再稼働は了解できない」 と慎重な姿勢を示した。

 原発の建設や運転の許認可権は国にあるが、道県と市町村、電力会社は安全協定を結び、施設増設などは地元の了解を取る ▽自治体の安全措置要求の受け入れ ―― などを約束している。 経産相の発言を巡っては橋下徹大阪府知事も 「時期尚早。 経産相や経産省のみなさんが原発周辺に住めばよい」 と話している。

道県知事のコメント
北海道 高橋はるみ知事
過酷事故対策が適切と評価した根拠も含め、国は責任ある説明が必要。説明を踏まえ対応を検討したい。
青森県 三村申吾知事
県原子力安全対策検証委員会での検証結果、県議会での議論などを踏まえ、慎重に、かつ厳しく対処していく。
宮城県 村井嘉浩知事
一定の理解は示すが、不安の声があるのも事実で安全対策を万全にしてほしい。女川原発にはコメントできない。
福島県 佐藤雄平知事
原発が立地している県の知事は安全確認の証左がなければと言っている。(福島第2原発の)再稼働はあり得ない。
新潟県 泉田裕彦知事
本県の技術委員会の質問に国は回答していない。原発の安全性について論評に値する内容を何も含んでいない。
石川県 谷本正憲知事
経産相の判断は一つの考え方だが、浜岡原発と他の原発の違いを十分説明していただかないと判断は難しい。
静岡県 川勝平太知事
(浜岡原発が含まれないのは)当然だ。完全な対策だと確認できない限り、再開のさの字も出る状況ではない。
島根県 溝口善兵衛知事
国の指示内容が、福島原発事故の原因を踏まえた安全対策として十分かチェックしていく必要がある。
愛媛県 中村時広知事
再稼働の必要性に理解を求めたのだろうが詳細は分からない。伊方原発の稼働は白紙であることに変わりはない。
佐賀県 古川康知事
再起動への国の意思が明確に示されたと受け止める。玄海原発の再起動は、県議会での議論も踏まえ判断したい。


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( 2011.06.19 )

 
  


 海江田経産相が18日に行った原子力発電所の安全宣言は、原発の立地する自治体に理解を促し、再稼働につなげるのが狙いだ。 しかし新潟県の泉田裕彦知事は 「原発の安全性について、大臣談話は論評に値する内容を何も含んでいない」 と突っぱねた。 再稼働は立地自治体を個別に説得できるかが焦点となる。

 新潟県には東電柏崎刈羽原発が立地する。 泉田知事は 「( 経産相は )福島原発の事故原因の検証も行わないまま、 『安全性』 を確認したとの談話を出した」 と切り捨てた。

 安全宣言によって、政府に対する不満や不信感を募らせたのは新潟県に限らない。

 福島原発の地元、福島県の佐藤雄平知事も同日の会見で、 「国はどんな安全基準を示したのか。 ( 各県とも要請を受けるには )安全確認の証左が大前提だ」 と、事故収束が進まない現段階での再開要請に不快感を表明。 停止中の福島第2原発について 「再稼働はありえない」 と断言した。

 全国最多の原発13基( 商業炉のみ )が立地する福井県の反応も冷ややかだ。 これまで国に対し新たな安全基準を求めてきたが、同県安全環境部の桜本宏企画幹は 「( この日の談話には )目新しい内容がない。 プラント( 原発 )の安全が担保できるとは考えられない」 と吐き捨てた。

 関西電力美浜原発を抱える同県美浜町の中村春彦副町長も、同日開かれた県原子力平和利用協議会で安全宣言に触れ、津波対策などについて国が明確に示していない点をあげ 「要請があっても再起動に応じられない」 と宣言した。

 関電管内では大阪府の橋下徹知事がこの日、 「無責任だ。 海江田大臣をはじめ、経産省の皆さんを強制的に原発の周りに住まわせたらいい。 事故の収束もつけられない日本政府が 『安全だ』 とはどういう思考回路だ」 と気勢を上げた。

 戸惑いをみせる自治体もある。

 全国で唯一、県庁所在地に島根原発を抱える島根県の溝口善兵衛知事は 「( 県の )原子力安全顧問など専門家の意見も聴く必要がある」 と表明。 東北電力女川原発の地元である宮城県の村井嘉浩知事は 「コメントする段階にない」 、日本原子力発電東海第2原発がある茨城県は 「コメントは控える」 ( 原子力安全対策課 )とそれぞれ直接の言及を避けた。

 東北電力東通原発を抱える青森県東通村の越善靖夫村長は 「今の段階でどうだこうだといわれても ……」 と困惑の表情を浮かべた。

 九州電力玄海原発を抱える佐賀県の古川康知事は 「談話は再起動への国としての意思が明確に示されたものと受け止める」 と前向きの談話を発表。 ただし玄海原発の運転再開に関しては 「県議会の議論なども踏まえて判断する」 と述べるにとどめた。

 北海道電力泊発電所のある泊村の牧野浩臣村長は 「よかった。 一刻も早く再稼働してほしい」 と話すが、歓迎する自治体は少数派で、政府は今後、多くの立地自治体が抱える不信感の解消に取り組む。





( 2011.06.19 )
 
 海江田万里経済産業相が18日、原発の安全を宣言した。 今週末には原発の立地地域に赴いて直接、定期検査で停止中の原発の運転再開を要請する方針。 ただ、安全宣言は経産相が主導した可能性がある。 地元の求める 「安全」 と、政府が良しとする 「安全」 との間には依然、隔たりがある。



■ 保安院が求めている緊急対策 ■
《 短期対策 》
水素爆発防止対策
水素爆発が起きないよう原子炉建屋からガスを逃す手順や機器の確認
事故対応環境の強化
乾電池を使ったトランシーバーなど代替通信手段の確保
事故時の放射線被曝管理体制の強化
電源車を使った中央制御室からの放射性物質の放出
事故時用の個入線量計の確保
緊急時対応資材の管理
がれきを撤去するための重機の確保
《 中長期対策 》
過酷事故の防止策の強化
蓄電池の大容量化など電源の確保
過酷事故への対応策
過酷事故に対応した訓練の実施やレスキュー部隊の整備
※コメント
(*1)《短期対策》●水素爆発防止対策・水素爆発が起きないように原子炉建屋ガスを逃がす手順や機器の確認 … とありますが、
福島第一原発を担当してきた技術者ならば、「水素爆発が起きないように原子炉建屋ガスを逃がす手順や機器」については、充分知っていたが、地震や津波で計器や装置が壊れて、それが適切にできなかったのではないでしょうか?
もし、事故対応した技術者がそれを知らなかったことが水素爆発の原因ならば、充分に事故対応ができるようなレベルの技術者の確保こそが対策ではないのでしょうか。
想定外の事故では、手順書通りにいかないことが多いのです。根本的には、福島第一原発のような原発は、危険な水素を発生するシステムであることが問題ではないでしょうか。
(*2)《中長期対策》●過酷事故の防止策の強化・蓄電池の大容量化などの電源確保 … とありますが、
 電源が確保されていても、計器類や、冷却装置などの装置が壊れていたら意味がありません。過酷事故では、計器類や冷却装置などの装置が正常に稼働するとは思えません。原子炉は危険なシステムなのです!原発そのものが「安全」などといえない危険なシステムなのです。
まやかし(ごまかし、いんちき)の安全対策をして、「安全宣言」をすれば、実態はどうであれ「安全」ということになるのですね!?
 経産省の原子力安全・保安院は7日、政府が出した国際原子力機関( IAEA )への報告書を踏まえ、電力各社に対し、追加の安全対策を指示( 表 )。 水素爆発の防止対策や、停電や高い放射線の環境でも作業ができる体制づくりを求めた。
 それからわずか11日。 海江田氏は 「現地の立ち入り検査などにより厳正に評価した結果、措置は適切に実施されていることを確認した」 という大臣談話を発表した。 早期の運転再開ありきで、評価作業を急いだ印象をぬぐえない。
 「海江田経産相の独自判断だ」。 菅直人首相の周辺は、今回の安全宣言について、こう解説する。
 政府が出したIAEAへの報告書には、中長期的な対策も盛り込まれている。 今回得られた地震や津波の知見を耐震安全性の評価に反映させることや、配電盤の高台への設置などの電源対策を施すことなどだ。 しかし、保安院は 「これまでの対策で過酷事故に十分対応できる」 と、追加対策の評価対象としなかった。
 理由は時間がかかるからだ。 原子力安全委員会は、原発の安全設計や耐震指針の見直しについて今月中にも検討開始を表明したばかり。 過酷事故対策を規制に採り入れるかも検討するが、2~3年はかかる。
 海江田氏は焦っていた。
 首相官邸では、枝野幸男官房長官は、停止中の原発再稼働を容認せざるを得ないとの姿勢だ。 だが、中部電力浜岡原発の全炉停止を要請した菅首相は、慎重姿勢を崩していない。
 首相は今月初旬、IAEAへの政府報告書提出に合わせて原発再稼働を宣言しようとした海江田氏を 「アクセルとブレーキを一緒に踏むのは良くない」 と言って制止した。 先月末も全国知事会の会合で、ある知事から 「再稼働は政府の責任でやってほしい」 と要請されたが、 「最終判断は地元自治体です」 と正面から受け止めなかった。
 閣内で意見が割れる可能性もあるなかで、なぜ安全宣言に踏み切ったのか。 政府関係者は、二つの理由を挙げる。 その一つは、20日のIAEAの閣僚会合に間に合わせるためだ。 「会合で日本の原発の安全性をアピールしたかった」 ( 政府関係者 )。 海江田氏は18日の発表後、開催地のウィーンに飛んだ。
 もう一つの理由は、夏の電力危機だ。電力需要のピークは7月下旬から8月。
 「原発立地地域の地方議会対策にかかる時間を考えると、いま再稼働を要請しないと間に合わない」 ( 政府関係者 )。
 経産省の幹部は、 「ギリギリだ。 時間との戦いが続く」 と焦る。 海江田氏は18日の会見で 「電力の供給不安とコスト上昇は、国内投資の抑制、日本企業の海外退避も呼び起こす」 と、経済への悪影響を懸念した。
 関西電力は発電量の54%を原発に頼り、依存度は電力各社で最も高い。 停止中の原発を再稼働できないと、夏には福井県内にある関電の原発11基のうち、6基が止まる。 関電の予測では、このままでは夏の電力使用のピーク時に、供給力が6.4%足りなくなる。
 発電量の4割を原発に依存する九州電力は、再稼働できない場合に備え、火力燃料の確保を進めている。 それでも 「供給力はぎりぎり。 トラブルがあれば、大停電を起こしかねない」 ( 幹部 )と心配する。


姿

 原発が立地する13道県の知事たちは、 「安全宣言」 を受けても慎重な姿勢を崩さなかった。
 発電量が世界最大の東京電力柏崎刈羽原発を抱える新潟県。 泉田裕彦知事は 「( 海江田氏の )談話は論評に値する内容を何も含んでいない」 と一蹴した。
 4年前の新潟県中越沖地震で想定以上の揺れを観測した同原発は7基がすべて停止した。 これまでに耐震補強を終えた4基が再稼働したが、このうち2基は8月には定期検査に入り、再び止まる予定。 東電はもともと耐震強化工事を終えた3号機を夏ごろには再開させる計画だったが、大震災で作業が止まったままだ。
 泉田氏は海江田氏の表明について 「事故原因の検証も行わないまま 『安全性』 を確認した」と批判。 「本県の技術委員会が行つている質問についても、国から回答がない」 と突き放した。
 商業用原子炉だけで全国最多の13基あり、6基が停止中の福井県の幹部も 「新しい内容が出てきたわけではない」 と冷ややかだ。
 西川一誠知事は一貫して、現在の安全基準のままでは運転再開はできないとの立場。 原子力安全・保安院が7日、水素爆発防止など5項目を追加した緊急安全対策を指示した時も、県は直後に 「わずか5項目しかない」 と酷評し、再稼働を認めない方針を明確にした。 県幹部は 「納得できる回答がなければ、再稼働を認めないだけだ」 と話す。
 多くの知事が問題としているのは、中部電力浜岡原発( 静岡県 )は政府が停止を要請して止めたのに、他の原発は動かしてもよいとする基準の違いがわからない、ということだ。 古川康・佐賀県知事も九州電力玄海原発の2、3号機の再開を認める前提として、浜岡との違いの説明を課題にしている。 18日、 「わざわざ、土曜日にこれだけ強く談話を出したことは、危機感の表れだと思う」 と語りつつ、運転再開については 「県議会でも議論されており、その議論を踏まえて判断していきたい」 と従来通りの考えを示した。
 立地道県に、建設予定地がある山口県を加えた14道県でつくる 「原子力発電関係団体協議会」 の会長を務める三村申吾・青森県知事は 「原発の再起動については、慎重に、かつ、厳しく対処する」 とのコメントを出した。


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