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( 2011.05.07 )
 

 


 会議は踊る、されど進まず ――。 この歴史的皮肉は、今の日本にもぴったり当てはまる。 指導力なき首相と権益拡大しか頭にない役人のせいで、有識者の知恵は空回りし、被災者ばかりが苦しみ続ける。



 大震災から2ヵ月近く経つが、復興が順調に進んでいるとはとても言い難い。
 福島第一原発の事故も深刻だが、問題はそれだけではない。 被災地にはいまだに膨大ながれきやヘドロが残り、インフラの復旧や仮設住宅の建設は遅れている。 今なお13万人近い人が、劣悪な食料、医療事情のもとで避難生活を送り、亡くなる高齢者も少なくない。
 そんな中で聞こえてくるのが、 「菅首相が鳴り物入りで発足させた 『東日本大震災復興構想会議』 はいったい何をやっているのか」 という地元からの怨嗟えんさの声。 立派な学識経験者らの英知を結集しているのかと思いきや、復興に役立つたという報告は一向にない。 逆に、会議の内部で不協和音が広がっていると報じられたくらいだ。 連休中、会議のメンバーが被災地を視察してはいるのだが ―。  福島県議の宮川えみ子氏は言う。
 「( 会議のメンバーが )意見を聞きに福島に来られるのはいいと思います。 でも地元の実情は、まだまだ復興という段階ではない。 自然災害ですから、初期に対応できないのはやむを得ない部分もあるでしょう。 しかし2ヵ月になるのに、いまだにプライバシーのない避難所で暮らしている人や、新学期が始まって、避難所だった学校から追い出された人もいます。 復興を言う前に、まずそういう事態を改善してほしい
 政府内では 「この際、( 震災を )道州制のきっかけにしよう」 「東北に首都機能移転を」 といった意見が出て、菅首相も 「夢のある復興をめざす」 と発言。 さらに復興構想会議のメンバーからも 「がれきで 『希望の丘公園』 を造る」 「被災地に鎮守の森を造る」 「希望のある町を」 といった声が上がっている。
 しかし宮川氏は、そういう 提案と被災地の感覚の大きなずれ を指摘する。
 私たちが求める復興とは、地域の人たちが生活できるようになり、商売が活気づくこと です。 上から見た理想論ではありません」
 4月に被災地を取材したジャーナリストの財部誠一氏もこう語る。
 菅首相は 『被災地の住宅を高台に移す』 と言っていますが、少しも現実性がありません。 被災した沿岸部以外では、高台にも今まで通り町が存続しています。 かといって、山間部を切り開くには莫大な費用と時間がかかる。 現地の人々は、怒りを通り越して呆れていますよ。
 第一、まず仮設住宅が必要なのに、その土地が全然足りていない。 そういう問題の解決策を議論するのが復興構想会議の役割のはずですが、その様子が一切ありません。 何の意味がある会議なのでしょうか」

 復興構想会議のメンバーは、議長の五百旗頭いおきべ真氏( 防衛大学校長 )を含め16人。 建築家の安藤忠雄氏と東大教授の御厨みくりや貴氏が議長代理を務め、委員には脚本家の内館牧子氏、ソニー副会長の中鉢良治氏、福島県立博物館長の赤坂憲雄氏、福島県在住の作家で僧侶の玄侑宗久げんゆうそうきゅう氏といった著名人、それに福島、宮城、岩手3県の知事らが名を連ねる。
 それぞれの分野では素晴らしい実績を持つ人たちだが、復興に必要なインフラ再建や資金問題の専門家はいない。 実務経験者も3知事以外見当たらない。 意見を集約して実施につなげる官僚OBもいない。
 「会議のメンバーには、理念を論じるのを好む人もいれば、実務を進めようとする人やアイディアを語りたがる人もいます。 活発な議論はいいのですが、整理役がいないので、下手をすると、バラバラに意見を言いっ放しで終わってしまう心配があります」 ( 全国紙政治部デスク )
 一番の問題は、この会議の政治上の位置づけがまったくなされていないこと。 何を決定するのか、どんな権限を持っているのか、最初から定められていない。 そもそも、これだけ錚々そうそうたるメンバーを集めているのに、驚いたことに会議自体に法的根拠がなく、あくまで菅首相の私的な諮問機関にすぎないのだ。




 しかも、震災への対策として、すでに多くの会議が乱立している。 緊急災害対策本部、被災者生活支援特別対策本部、被災者生活支援各府省連絡会議、被災地の復旧に関する検討会議、原子力被災者生活支援チーム、福島原子力発電所事故対策統合本部、電力需給緊急対策本部 …… と、名称を眺めているだけで目がチカチカしてくる。
 「これら数十に及ぶ会議の名前と目的をすぐに言える人は、永田町にいないのではないか」 ( 前出・財部氏 )という声が上がるのも当然だ。 そこに復興構想会議を作るのは、まさに屋上屋を架す愚挙。 しかも、会議の間の序列や棲み分けも誰も知らない。 復興構想会議も、最上位と決まっているわけではない。
 これらはすべて、菅首相が 「政治主導で復興に取り組んでいます」 と訴えるためのポーズである様相が濃い。 元内閣官房副長官の石原信雄氏も言う。
 「非常事態に対応するための組織は、シンプルな方がよい。 しかし、今の政府にはさまざまな本部や会議があり、肝心の実行が滞っています。 復興構想会議のメンバーも多すぎます。 阪神・淡路大震災後と比べ、今回の震災への対応は遅い」
 しかも、復興構想会議と下部組織の検討部会の間で、前述のように不協和音も生じている。 検討部会は、親会議と対照的に、経済などの専門家や実務家が中心。 この部会長の飯尾潤氏( 政策研究大学院大学教授 )が4月20日に突然、 「財政再建を視野に入れながら、復興の財源についても検討したい」 と発言したのだ。
 要は、増税したいということです。 これに対し、橋本五郎氏( 読売新聞特別編集委員 )ら親会議のメンバーから、 『なぜ下部組織が、独立した組織のように先行して議論するのか』 という怒りの声が上がっています」 ( 前出・政治部デスク )




 確かに、プライドを傷つけられた復興構想会議のメンバーが激怒するのももっともに思える。 しかし、その前の4月14日には、親会議の議長である五百旗頭氏が、 「復興財源として震災復興税を」 とやはり増税を唱えているのだ。
 「このときは、( 前出の )橋本氏や玄侑氏、大西隆氏( 東大大学院教授 )らの委員が 『この会議の目的は被災者に希望を与えることであり、増税ではない』 などと不快感を表明した。 それを受けて五百旗頭氏は 『あの発言は会議の方向性を示したものではない』 と詫びました」 ( 前出・政治部デスク )
 親会議と下部組織が対立しているが、なぜか両者のトップは増税したがっている ―。 何とも珍妙な主導権争いだが、その背後にあるのは菅首相と仙谷由人官房副長官の対立。 複数の関係者によると、復興構想会議のメンバーは菅首相と枝野幸男官房長官が選び、検討部会のそれには仙谷氏の考えが反映されている。
 さらに、仙谷氏の意向にもう一段背景があるというのは、ジヤーナリストの須田慎一郎氏だ。
 「実際は、仙谷氏は検討部会の委員選びを財務省に“丸投げ”しています。 具体的には、財務省出身の内閣官房副長官補・佐々木豊成氏にかなりの部分を任せている。 そこで、佐々木氏ら財務省サイドの意向に沿って増税を主張してくれる人たちが、主に検討部会に送り込まれたわけです。 元国税庁長官の大武健一郎氏( 大塚ホールディングス副会長 )はもちろん、飯尾氏も財務省と非常に近い」
 大きく見ると、財務省が、増税派で実務家集団の検討部会を後ろから操り、必ずしも増税志向とは限らない理念派の著名人集団である親会議を出し抜こうとしている ― という構図が浮かび上がる。
 被災地の状況などまるで考えない、何とも醜い争いという他はありません。 このまま復興構想会議のメンバーがまとまりのない議論をしていると、親会議まで財務省が仕切るようになるでしょう」 ( 須田氏 )
 そうなると、会議全体が財務省の増税推進機関になってしまう。 復興という当初の目的はどこへやら、というわけだ。 実際すでに、 「財務省は消費税率を最低3%は上げたがっている」 「導入は来年4月」 といった説が、永田町や霞が関では語られている。
 民主党参院議員の川上義博氏は言う。
 「復興には被災地の住民の参加が不可欠です。 しかし被災地は、がれきの撤去も何年かかるかわからず、仮設住宅の見通しも立たず、まだ復興ビジョンどころではない。 しかも 会議では、復興の具体案ではなく増税を論じるという。 何を考えているのか。 ただでさえ大変な時期にさらに増税で国民を苦しめるとは、人の痛みがわかっているのか。 バカヤロウと言いたいよ」
 義援金も被災者にまだ配分しておらず、生活支援のための現金も渡していないのに、国民から金を吸い上げることばかり考えている異様な政府。 しかも菅首相は 「3時間以上に及ぶ復興構想会議の会合中、ほとんど発言しない」 ( 前出・政治部デスク )ため、場のイ于ンアティブを取る人がおらず、議論の混乱に拍車をかけているという。
 「せめて菅首相は増税論を即刻凍結し、 『復興構想会議の決定は何事にも優先し、超法規的にすべて実現させる』 と国民に約束すべきです。 それができなかったら、会議はすぐにやめた方がいい。 時間と金と労力の無駄で、百害あって一利なし」 ( 前出・財部氏 )
 





( 2011.05.18 )

――
  
    

 東日本大震災の発生から2ヵ月が過ぎた今、日本人の目に被災地の様子はどう映っているだろうか。
 避難所の物資不足は解消され、仮設住宅の建設が始まり、被災者同士が力を合わせて新しい生活に向けた一歩を踏み出す。 彼らの我慢強さに被災していない人も元気をもらい、日本が1つになって復興に向けて歩み始めている ―。
 こういった物語の一つ一つは真実かもしれない。 だが被災地を歩くと、これとは違った 「物語」 がいまだに拾われないままいくつも転がっている。 将来が見えず、プライバシーもない避難所生活のストレス増加も報じられてはいるが、その伝え方はほとんどが表面的だ。 被災者の本音を置き去りにしたまま、被災していない人たちが 「寄り添う」 ことなどできるのだろうか。
 「ちょっとアンタ、どこの人?」 今月初め、深刻な津波被害を受けた宮城県内のある地区で200人規模の避難所でのこと。 建物の中を歩いていると、ある高齢女性に呼び止められた。 こちらが身分を名乗ると、 「物取りがいるからね。 知らない人だと怖いんだよ」 と、警戒心をあらわにした理由を説明した。 彼女によれば、段ボールで仕切った自分のスペースに支給されたジュースなどを置いておくと、なくなることは 「しょっちゅう」 だという。
 「取られるのは食べ物だけじゃない」。 彼女は険しい表情を崩さないまま語る。 だが、ほかになくなった物は何かと尋ねると返ってきたのは 「鼻紙が入ったきれいな袋」 という答えだった。
 盗難への注意を喚起するチラシが出回っているし、財布をじろじろと見てくる人もいると彼女は言うが、今のところ大きな被害に遭ったわけではない。 この女性は先日、避難所の外に止めておいた自転車が 「盗まれた」 と早とちりして大騒ぎした。
 「被害妄想」 だと片付けるのは簡単だ。 だがこの避難所のように数百人規模の施設には、まったく知らない他人が大勢いる。 被災者はそこでありったけの貴重品を抱えて生活しているが、コインロッカーのように預ける場所があるわけではない。 このため、女性は持ち物が入った紙袋と自分の膝をゴムひもでつなぎ、誰かが動かすとすぐに分かる仕掛けを作っている。
 「我慢強い」 とされる東北人の忍耐は、限界に達している。 特に規模が大きく、被災者同士の一つながりが希薄な避難所では、抱え込んだストレスが 「人間不信」 という形で進行している場合もある。 その不信感の矛先は、 「すべてが遅い」 政府だけではなく、避難所内の同居人や避難所を訪れるメディア、芸能人にも向けられる。




 被災者のストレスを加速しているのが、やることなすことすべてが人の耳目にさらされるプライバシーのない生活だ。 たとえ周りの人間と良好な関係を築けたとしても、それは終始気遣いをした結果かもしれない。 「気遣い疲れ」 も尋常ではない。
 内閣府が東北3県の避難所に対して行った実態調査によれば、4月下旬の時点で間仕切りなどがまったくない避難所は536ヵ所中108ヵ所に上っている。 冒頭の避難所には、大広間での生活に耐えられなくなって、通路や玄関付近のロビーなどの小さなスベースにさらに 「避難」 した被災者が大勢いた。
 玄関付近に段ボールで仕切りを作って生活していた女性( 50 )は、2歳の孫が初対面の被災者に構われ過ぎて対人恐怖症のような症状を見せ始めたため、 「ここに逃げてきた」 という。 それでも、人通りが多い玄関近くでは常に人目にさらされる。 「あれこれ言いたがる人もいて、ああしろこうしろと目で訴えてくる」 と、女性は言う。
 視線だけでは済まないこともあった。 避難所内を歩いていたとき別の被災者から 「挨拶しろよ」 と高圧的な言葉を浴びせられ、今では支援物資を取りにいくのにも遠回りをする。 たったひとことが大きなストレスになっていることは明らかだ。
 避難所生活には女性ならではの不便さも多い。 男性主体で運営される避難所ではこうした悩みへの配慮が行き届かず、それがまた女性にはストレスになる。
 冒頭の宮城県の避難所に女性用更衣室が設置されたのは最近のこと。 それまで女性は汚れたトイレで着替えるしかなく、とても毎日着替える気にはならなかった。 今でも衣服はもとより、下着でさえ毎日は交換せず、生理用ナプキンで 「代用している」 人もいる。 そのナプキンも心置きなく使えるかといえばそうでもない。 月―回の生理を前提に1人1セットが支給されるなか、追加でもらいにくかったり、 「早い者勝ち」 の状況になったりするからだ。
 そもそも支援物資として届いた下着を手にしない女性もいる。 男性の目を気にしつつ、段ボール箱から自分のサイズの下着を探すしかない状況では、特に若い女性は手を伸ばしづらい。 避難所の通路にはたくさんの洗濯物が干されていたが、女性の下着は1つもなかった。




 NPO法人 「女性と子ども支援センター ウィメンズネット・こうべ」 の正井礼子代表によれば、これは阪神淡路大震災でも見られた問題だ。 当時はナプキンを使い続けたことで外陰炎を起こしたり、ひどいときには出血する女性もいた。
 プライバシーのない避難所生活では、性犯罪への不安も深刻だ。 この避難所では、夜は1人で出歩くなと女性同士で注意し合っている。 筆者自身も、取材中に避難所の女性から 「悪い男の人もいるから気を付けて」 と声を掛けられた。
 阪神淡路大震災で女性被災者から性的被害の相談を複数受けたという正井は、当時は 「加害者も被災者だから」 という声が周囲から上がったり、そこで生活するしかない女性は被害を言い出しにくい状況があったと語る。 今後は、被災地における性犯罪の実態調査が急務だろう。
 また女性にとって性犯罪は、 「起きるかもしれない」 という心配自体が大きなストレスになる。 阪神淡路でバスタオルで隠しながら着替えていた女性の中には、当時の記憶がトラウマになり、いまだに裸になることが怖いという人もいる。 更衣室のほかにもできる限り男女別のスペースを設けるなど、防止策を講じるだけでも女性の不安は軽減されるはずだ。




 ストレスが蔓延する避難所では、 「善意」 を押し付けがましく感じたり、その真意を疑ってしまうこともある。 例えば、芸能人が次々にやって来たという避難所では、大物俳優が避難所の全員と握手してくれたという感激の声もあれば、芸能人の善意を疑う人もいた。
 普段からボランティア活動に積極的なある人気女性タレントが、テレビカメラが回った途端に笑顔を振りまき幻滅したという厳しい声も聞かれた。 そのタレントが避難所で子供といる姿がテレビに映ったところ 「この避難所の子供ではない」 と噂になったこともあるという。
 「大物歌手が来たのに、ここでは歌わなかった。 後でほかの避難所で歌ったと聞いて頭にきた」 と言う人もいた。 報道されるように、多くの被災者が芸能人の慰問に勇気づけられていることも事実だが、そうした声がすべてではない。
 メディア不信も加速している。 取材中、避難所などで何度も 「メディア・アレルギー」 という言葉を耳にした。 了解を得ないままカメラを向けたり、寝ている避難者の隣でお構いなしにマイクを差し出したというテレビ取材の話や、新聞記者に答えた内容を誇張して報道されたという声も聞いた。
 もちろん同じ避難所でも被災者の普段からの性格によって、善意の受け止め方やストレスのたまり方は変わってくる。 親族や震災前からの知人が多い避難所であれば心の休まり方も違うし、それまで孤独を感じていた高齢者が集団で生活するようになって元気が出た例もある。 20人程度の避難所の中には、毎晩男性たちが酒を酌み交わしているという所もあった。
 一方で、ストレスをためている被災者は避難所で生活している人に限らない。 特に 「被災者を支援している被災者」 は、ストレスを訴えづらい環境にある。
 東松島市災害ボランティアセンターで、ボランティアスタッフとして働く女性( 52 )もその1人。 石巻市の自宅は津波にのまれ、現在はボランティアセンターを運営する市社会福祉協議会に避難する被災者だ。
 震災直後からほぼ毎日働いているという彼女は、 「今すぐ辞めたいと毎日思っている」 と本音を明かす。 震災前から併発している狭心症と潰瘍性大腸炎に、被災によるストレスがのしかかって 「もうとっくに限界を超えている」 からだ。




 潰瘍性大腸炎は安倍晋三元首相の辞任の理由の1つとも言われ、食事制限が必要な上にストレスで病状が悪化しかねない特定疾患だ。 こうした難病を抱えているのに、継続的に働けるスタッフが不足しているため辞めるタイミングが見つからない。 働くことを強制されているわけではないが、それでも責任感から本音を大声で訴えられないのが現実だ。
 ボランティアではなく、被災者対策の最前線で働く自治体職員のストレスもまた計り知れない。 仙台市役所の窓口では、市民と思われる男性が市職員に罵声を浴びせる場面を何度か目にした。
 震災後、 「東北人は我慢強い」 という言葉がメディアで飛び交った。 印象論としてはうなずけるが、 「我慢強い」 でひとくくりにするのは被災者にとって残酷だ。 我慢強く映るのは、苦しみを爆発させずにのみ込んだ結果にすぎないからだ。
 東松島市役所に開設された 「こころのケア相談窓口」 で震災直後から被災者の相談に乗ってきた保健師の門脇裕美子によれば、相談件数は4月末ぐらいから増加傾向にある。 「四十九日が過ぎてライフラインも整ってきた今、ようやく吐き出せる時期に来たのだと思う」 と、門脇は言う。 今後は 「避難所への支援」 から、被災者一人一人のニーズに合わせた支援がますます重要になるだろう。
 「1つになろう」 と言えば響きはいい。 だが 「被災者」 は1つの集合体ではなく、苦痛やストレスの原因も人それぞれだ。 復興に向けた明るい話題が増えていくなか、今も彼らのストレスはひそかに蓄積している。 それは長きにわたり被災者の心と体をむしばみかねない。


  ではないかという思いがある。

 






( 2011.04.03 )

 

 「被災者たちを助けたい」 と、すぐに行動を起こしたものの、その行為を取りまとめる国や公的機関の心ない対応に憤りを感じた人たちがいる。 都内を拠点に活動する女性社長・A子さんもそのひとりだ。

 大震災発生から2日後の3月13日深夜、A子さんは、支社と実家がある仙台へとマイクロバスを走らせた。 積んだ物資は、粉ミルクやオムツ、ナプキン、女性用長靴、靴下など赤ちゃんや女性用のものが中心だ。 しかし、現地でA子さんを迎えたのは、“そんな要望はないんだよな”という心ない言葉だった。

 そう判断されたのは、ボランティアをまとめる立場に男性が多いことが理由のひとつとしてあげられる。 被災地の避難所でボランティア活動をする女性はいう。

 「送られてきた物資を受け取る担当は、中年の男性が多いんです。 この前は、ムートンのブーツが支援物資として送られてきたんですが、ムートンを知らなかったらしく、“そんなものは、いらない”と返してしまっていました。 ムートンは、温かくて長靴より重宝するのに ……。 ほかの避難所では、女性用の下着ですら受け取らないところがあるとさえ聞きました」

 ボランティア活動に女性の視点を入れることの大切さを説く専門家も多いのが現状だ。

 A子さんが支援に訪れたのは、実家や支社がある仙台市だけではない。 いまでは原発問題で一部自主避難要請地域となっている福島・いわき市、津波で町民の半数が避難した宮城・南三陸町、2100人以上が亡くなった石巻市など。 そのいずれの場所でも、“行政の壁”を感じた とA子さんは話す。

 「100個の物資を持っていっても、その避難所に101人の人がいたら受け取ってもらえない。 それは、ひとつのポテトチップスを3人で分け合っているような避難所でもそう。 行政は公平が前提なんです」

 逼迫している人たちを前にしても、杓子定規な決まり事を守ろうとする行政。 A子さんの言葉には、憤りを通り越した無念の思いがにじんでいた。





( 2011.06.08 )



 民主党は8日、東日本大震災の関連法案を審議するため参院に新設する東日本大震災復興特別委員会の委員長に柳田稔元法相を充てる人事を内定した。

 柳田氏は法相だった昨年11月、 「法相はいい。 ( 国会答弁で )二つ覚えておけばいい。 分からなかったらこれを言う」 などと国会を軽視する発言をし、辞任した経緯がある。

 このため、柳田氏の内定に自民党参院幹部は、 「あり得ない。 被災地をばかにした話だ。 どういう経緯で法相を辞めたのかを考えて、一回顔を洗って出直してこい」 と強い不快感を示している。





 柳田法相が14日に広島市で開かれた法相就任を祝う会合での発言要旨は次の通り。
 「9月17日( の内閣改造の際 )新幹線の中に電話があって、 『おい、やれ』 と。 何をやるんですかといったら、法相といって、 『えーっ』 ていったんですが、何で俺がと。 皆さんも、 『何で柳田さんが法相』 と理解に苦しんでいるんじゃないかと思うが、 一番理解できなかったのは私 です。 私は、この20年近い間、実は法務関係は1回も触れたことはない。 触れたことがない私が法相なので多くのみなさんから激励と心配をいただいた」

 「法相とはいいですね。 二つ覚えておけばいいんですから。 『個別の事案についてはお答えを差し控えます』 と。 これはいい文句ですよ。 これを使う。 これがいいんです。 分からなかったらこれを言う。 これで、だいぶ切り抜けて参りましたけど、実際の問題なんですよ。 しゃべれない。 『法と証拠に基づいて、適切にやっております』。 この二つなんですよ。 まあ、何回使ったことか。 使うたびに、野党からは責められ。 政治家としての答えじゃないとさんざん怒られている。 ただ、法相が法を犯してしゃべることはできないという当たり前の話。 法を守って私は答弁している」






( 2011.06.09 )

 

   

 東日本大震災の復興の青写真を描く政府の復興構想会議( 議長・五百旗頭真防衛大学校長 )は今月末にまとめる 第1次提言の骨子案に、巨額の復興財源を調達する消費税など基幹税の増税を明記 した。 ただ、政府保有株をすべて売却すると、消費税率を3年間3%引き上げたのと同額の22兆5千億円の財源を確保できる計算で、拙速に財源を税に頼る姿勢には国民の反発が避けられない

 骨子案は復興財源として国債を発行する場合に消費、所得税などを念頭に 「基幹税」 を中心とする増税で償還するよう要請した。 月末の提言決定に向け意見集約を急ぐ。 政府・民主党は提言を踏まえ、本格的な復興策を盛り込む平成23年度第2次補正予算の編成に着手する方針だ。

 これに対し、増税以外の財源捻出策が十分検討されないまま、増税論議が先行することには反発が強い。


~ 主な政府保有株 ~
   銘柄保有額(兆円)
日本郵政 9.6
日本政策金融公庫 4.5
日本政策投資銀行 2.2
商工中金 0.1
NTT 2.0
日本たばこ産業(JT) 1.7
高速道路6社 0.4
成田国際空港 0.2
東京メトロ 0.1
関西国際空港 0.3
国際石油開発帝石(INPEX) 0.474
 国の資産をみると、財政上の資金繰りに必要な現金・預金などを除いた国有財産は107兆3千億円( 22年3月末 )に上る。 その内訳は庁舎や公務員宿舎など、国が行政上の目的のために所有している行政財産が35兆2千億円、それ以外の未利用国有地や政府保有株、独立行政法人への出資金など普通財産が72兆1千億円だ。

 政府はこれまでも公務員宿舎や庁舎の跡地など国有地の売却を進めており、 「現時点で売れる国有地は1171億円程度しか残っていない」 ( 財務省 )。 政府保有株も多くが現行法で一定割合の所有を義務づけられているほか、株式市場も低迷し、 「実際に売却できる銘柄は数千億円にとどまる」 ( 同省 )という。

 しかし、 「日本郵政を10年後に完全民営化すると約束して株式を徐々に売り出し、売却資金を国債の償還財源に充てるという方法も考えられる」 ( SMBC日興証券の末澤豪謙金融市場調査部長 )など、国有財産の活用は、なお不十分との見方もある。

 政府保有義務などを見直して保有株をすべて売却した場合、22兆5千億円の資金が得られる。 これは税率1%当たり年間2兆5千億円の消費税収に換算すると、3%増税を3年間続けたのと同じ金額だ。

 国有財産以外でも、政府が米国債などの形で保有する100兆円規模の外貨準備 を取り崩して復興財源に回すべきだとの声も出ている。 与謝野馨経済財政担当相は 「外貨準備に対応する短期国債が出されており、いわば借りているお金にすぎない」 と外貨準備の活用には否定的な考えを示すが、 「米国債の運用益は復興財源に使えるのではないか」 ( 末澤氏 )との指摘もある。

 政府が昨年10月に事業仕分けの一環で行った特別会計の仕分けでも 「埋蔵金がほとんど発掘できず、期待はずれだった」 ( 富士通総研の米山秀隆主席研究員 )との不満も少なくない。 増税以外の財源探しを徹底することが求められる。


東日本大震災からの復興に向けての意見(1) - 富士通総研 -
復興財源は 「埋蔵金」 によって捻出できる





( 2011.06.20 )
また被災者軽視?
 復興特別委の開会遅れる
  外


 参院東日本大震災復興特別委員会は20日午前の理事会で、自民党など野党が、北沢俊美防衛相と松本剛明外相が参院の了承なく訪米したことについて 「国会軽視も甚だしい」 と反発し、委員会の開会が大幅に遅れている。

 自民党は理事会で、民主党の 岡崎トミ子 筆頭理事が17日の時点で北沢、松本両氏の訪米を知りながら説明がなかったことを問題視。 岡崎氏は謝罪したものの自民党は納得せず、政府・与党の見解を求めている。

 北沢氏は19日、松本氏は20日に、米ワシントンで21日に開かれる外務、防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会( 2プラス2 )に出席するため出発。 国会開会中の閣僚の海外渡航については衆参両院の議院運営委員会の許可を得ることが慣例だが、自民党は菅直人首相が退陣意向を表明していることから反発、政府判断で両氏の訪米を決めた経緯がある。


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