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( 2011.05.18 )

 


 工程表は示されたが、原発周辺の住民にとっては、不自由な生活にはっきりとした出口が見えたわけではなく、抱えるストレスは大きい。 福島県内では、原発立地で経済的な恩恵を受けてきた、受けなかったといった認識の違いが、感情的対立すら生じさせている

土下座に違和感
 「避難所で東電の社長に土下座させた人たちは、これまで東電に食べさせてもらってきた人たち。 地元に原発を誘致した経緯もある。 土下座の強要には違和感を覚える」
 原発から約60キロ離れた福島市内で飲食店を経営する男性( 40 )はそう話す。 震災と原発事故で、売り上げは昨年の3分の1程度に落ちたという。
 「原発で恩恵を感じたことは一度もないのに、損害を受けている。 原発近くの人は手厚く補償されるだろうが、うちがつぶれても補償されるのか。 理不尽だ」
 原発から離れた地域の少なからぬ住民には、こうした思いは共通する。

累計2700億円
 原子力や火力発電所などが立地している地域は、国から 「電源立地地域対策交付金」 など、さまざまな交付金を受けられる。
 交付金は周辺自治体に直接交付されるものもあるが、広く県全体に渡るものもある。 福島県によると、各種交付金の平成21年度の総額は計約145億円。
 このうち、県に交付された 「電力移出県等交付金」 は計62億円で、県は約52億円を公共事業に投じた。 残る10億円は県内の全自治体に分配した。 県が昭和49~平成21年度までに受けた交付金の総額は、約2700億円 になるという。
 県には電力会社から 「核燃料税」 も入る。 原子炉に挿入された核燃料の価格と重量に課税されるもので、15~18年度では計約103億円。 多くが県内の道路や橋、河川などの整備費のほか、福島空港の管理費、県立病院などの運営費、警察費など、県民全体のサービス向上に充てられた。
 だが、 原発が県にどんな恩恵をもたらしてきたかを知っている県民は少ない ( 県幹部 )というのが現実だ。

しっかり周知を
 原発の住所地でもあり、現在は町役場ごと会津若松市に避難中の大熊町役場には、 原発で恩恵を得てきたのに、事故でほかの地域に迷惑をかけ、今さら被害者ぶるな」 といった批判の声が届いているという。
 町幹部は 「雇用や、町から住民への教育費や医療費の補助など、確かに他地域より恩恵はあった」 と認めつつ、 「恩恵が県全体にも及んでいることを知らない人も多い」 と戸惑いを隠せない。
 ある県幹部は 「原発の恩恵がリスクと釣り合ってきたのは、“安全”という前提があったからこそ。 これまでの経済的恩恵とは桁違いの損害が出ている」 と話し、立地地域も被害者だと強調する。 その上で、 「県民対立や国民からの批判を防ぐためにも、濃淡はあるにせよ原発の経済的恩恵が、特定の地域だけのものでなかったという事実をしっかり伝えていきたい」 と話している。





( 2011.04.25 )

 


 川俣町の町民がいう。 「原発では、富岡町、双葉町、楢葉町にはいろんな交付金出てた。 われわれは何の恩恵もなくてただ被害だけ」
 川俣町の一部は先週、 「計画的避難区域」 に指定された。 福島第1原発の30キロ圏よりはるかに外なのだが、放射線量が年間積算で基準に達する恐れがあるからだ。 1ヵ月以内に避難を迫らている。 その山木屋地区で聞いた。

 「先祖が開いた田だから放棄するわけにはいかない」
 「鶏もいることだし、生き物だからね」
 「わたしは歳だからもうここにいるといったら、わがままいっちゃいけないといわれた。 去るのはさびしい」
 山木屋地区には341世帯、1200人がいる。 しかし、田植えも養鶏も牧畜もできないから、田園に人の姿はなかった。




 加えて、この地区の人たちが避難しようとする村内の他の地区( 指定されなかった地区 )には、すでに原発周辺の住民が避難してきていた。 冒頭の不満はここででた。

 「われわれは行くところがないんですよ。 仮設なんていつできるかわからない。 ただ1ヵ月以内に移動しろと」
 隣の小綱木地区を訪ねた。 指定区域ではないから田植えの準備は進んでいたが、農民( 78 )は 「農作業にも何となく力が入らない。 しょうがなくてやるような状態ですから」 という。

 「先祖の土地を離れたくはない。 が、出て行かないといけない」
 「原発の交付金も受けるのは原発周辺だけ。 離れているとメリットもないのに、放射性物質が飛べば被害だけ受ける。 これが原発事故の現実。 電気を使っていたのはわれわれなんだから、われわれが支援を真剣に考えないといけない。 ボクらの責任です」
 「避難しながら通勤できないか」 ( 町長 )
 その川俣町の古川道郎町長が電話で訴えた。

 「1ヵ月で出て行かないといけないが、メドがたたない。 みな不安でいっぱいです。 家族だけでなく、動物もいるし、工場の移転もある。 1ヵ月でできるかどうか。 原発周辺地区の避難の人たちを受け入れているから、もう施設は埋まっている。 われわれは遅れて避難となったので、いま行き先を探している
 「また、引っ越しでも障害があるそうですね」

これはきのう( 2011年4月24日 )の新聞が報じたが、この地区への集配を引っ越し業者が拒否しているという。 「社員の安全確保のため」 というのだが、現に人が住んでいる地域へも入らないというのは、ほとんど風評被害に近い。

 町長は 「政府からは何の説明もない。 国は実情を確認しながら指示を出してもらわないと現地では手の打ちようがない」 という。 また線引きも微妙だ。 「線量の低いところもあるので、避難はしても、安全を確認しながら通勤で工場を操業できないかと要望している」 ( 町長 )

 なんともきわどい綱渡りである。 こうして知恵を絞っている被災地の首長にくらべ、中央の動きのなんと鈍く見えることか。 足の引っ張り合いなんかしている時じゃないだろうに。





( 2011.04.17 )

 


 「新聞やテレビは双葉町のことばかりで、なぜ浪江町のことは何も報じないんでしょうか」

 編集部に電話を掛けてきたその女性は、ひどく憤っていた。

 「私は浪江町出身で、両親は浪江町から県外へ自主避難しました。 集団で避難した人間がいい思いをして、個人で避難した人間が無視されるのはおかしい。 浪江町の本音はネットの掲示板にあります。 見て下さい」

 掲示板には、 「現在の心境や気持ちなど、自由に吐いて下さい」 とある。 見てみると、そこには行政や東電、マスコミや隣町への不満がギッシリ書き込まれていた。

 《 ニュースの人数は、避難所にいる人しかカウントされません。 自主的に親戚などを頼って避難した人は、お金はかかるし損なのです。 待遇のいい避難所にいる人の話を聞くと、ちょっとムカつく! 》

 《 こうなったら町と町との争いですからね 》

 過激化する町民を諫めるように、

 《 いくら愚痴を吐いてもいい掲示板にしたとはいえ、浪江町人だけがみていると思ったら大間違いですよ!( 中略 )読んでいて同じ浪江町人として恥ずかしいです( ;_; )心までが原発や災害に負けてはダメですよ! 》

 と、こんな書き込みがあるほどに掲示板は荒れていたのである。

 浪江町は福島第一原発のある双葉町の隣に位置するが、東西に長い形をしているため、避難、屋内退避、その圏外と、町民の置かれた立場も様々。 それだけに、町ごと避難した双葉町や大熊町ほど注目されにくいのは確かだ。

 朝のワイドショーで、新学期を迎える双葉町の子供たちに全国からランドセル79個が寄付されたと伝えられた日、浪江町の災害対策本部に電話してみると、

 「ランドセルですか? 残念ながらそういうお話はありません。 浪江町は双葉町さんのようにお金もないので、ランドセルを買ってあげることもできません。 寄付してくださる方があれば、ありがたい話ですが、今のところそういうご支援はありません ……」

 浪江町は、原発のある双葉町に比べて交付金なども少なかったのは事実。 そのうえ避難先でも恵まれないとすれば、町民が愚痴をこぼしたくなるのも無理はない。





( 2011.03.22 )

 


 福島原発の放射能漏れによって退避を余儀なくされた避難民のいる福島県・郡山市。
 避難してきた30代男性はこんな怒りを告白する。
 「避難所のテレビや新聞では、放射性物質対策について“外から帰ったら手をよく洗ってください”“洗濯物は外に干さないでください”なんて伝えている。 私たちにとっては手を洗う水さえ貴重。 洗濯なんてできるわけもない。 バカにされていると感じてしまう」





( 2011.03.30 )

 


 政治家の 「適材適所」 について考えさせる例を2つ紹介しよう。

 震災後、災害ボランティア担当の首相補佐官に就任した辻元清美氏は、権限をくれと駄々をこねたという。 補佐官は官邸の大部屋に席が置かれるのが通例だが、辻元氏は、 「部屋と秘書官がいないと仕事ができひん」 と要求して、内閣府に震災ボランティア連携室を設置させた。 ちょっとした “大臣気分” を味わったのか。

 また、岡田克也幹事長は、民主党地震対策本部長の職にある。 もともと他人の感情に疎いことが指摘される人だから、こんな “不適材不適所” はない。

 原発事故で福島県双葉町の住民1200人が集団避難しているさいたまスーパーアリーナを視察し、帰郷への支援を求める町長を尻目に、なんと 「町ごと移転して、しばらく何年間かやっていただく」 と語った。

 住民たちはアリーナに短期間滞在したあと、次は埼玉県加須市の高校に移動することになっている。 落ち着き先も定まらない住民たちは、いきなり飛び出した冷酷な宣告に、 「もう故郷には帰れないのか」 と絶望的な気持ちになったという。

 視察に際して、水も食糧も与えたからと、 「ここは人も物もありーな」 とジョークを飛ばしたと報じた産経新聞に、岡田氏は 「いってない」 と抗議したが、 “あの人ならいいかねない” と周囲の誰もがうなずいていたという。





( 2011.04.02 )

 


 「菅官邸は人気取りパフォーマンスを即刻やめよ」 と、ジャーナリストの須田慎一郎氏が、ニュースの裏に隠された真相とタブーを暴く。 以下、須田氏の分析である。

      ※ ※ ※

 菅首相サイドには、この震災発生を奇貨として政権浮揚を図ろうとする意図があることは明らかだ。 その最たる例が 蓮舫行政刷新担当相と辻元清美衆院議員の登用人事 だ。

 地震発生直後の13日、枝野幸男官房長官は、首都圏を中心に電力供給量が大きく不足することの広報を目的に節電啓発担当相のポストを新設し蓮舫大臣を兼務させることと、政府と民間ボランティアとの連携を進めるために災害ボランティア担当首相補佐官を置き辻元議員を充てる、という内閣人事を発表した。

 「この人事については、官邸内でも相当な異論がありました。 こんな状況下で人気取りのパフォーマンスをやっている場合じゃないだろう、と。 しかし結局、菅総理の取り巻き連中が、そうした反対を押し切ってしまったのです」 ( 官邸中枢スタッフ )

 皮肉なことに、この一連の人事が官邸の混乱にさらに拍車をかけているのだという。

 「辻元補佐官が着任したのはいいが、そもそもボランティア団体の代表者らから話を聞く以外、目立った仕事はない。 それなら静かにしていてくれればいいのですが、本人はあれこれ動きたがる。 官邸の事務方の間では、『だったら辻元サンが、被災地に毛布でも運んでくれたらいいのに ……』 という声がしきりですよ」 ( 前出の官邸中枢スタッフ )

 加えて菅首相自らが、直接被災地に視察に行くと言い出して、周囲はてんやわんやなのだ。

 「総理が“現場”に行くとなると、警備やら何やらで最低でも140~150人の警官を動員しなくてはならなくなる。 今の被災地にそんな余裕はありません。 まったく無茶な話だ」 ( 警察庁幹部 )

 結局、この“視察”は降雨を理由にめでたく中止の運びとなった。

 こうした大混乱ぶりに業を煮やしたのか、仙谷由人民主党代表代行が官房副長官という肩書で官邸に復帰することとなったのである。

 「これはもう事実上の官房長官です。 少なくとも霞が関はそう見てますし、この人事だけはわれわれとしても大歓迎です」 ( 財務省幹部 )

 その仙谷氏に課せられた最大の役割は、官邸と霞が関のパイプ役に加え、菅首相の“暴走”を止める役どころ。

 「いずれにしても仙谷氏の復帰で、菅総理の 『名ばかり総理』 がより一層進むことは間違いない」 ( 前出の財務省幹部 )

 





( 2011.04.04 )
神戸の社長
 

 被災者たちを助けたい思いから行動を起こし、いざ現地に向かっても、そこに 「行政の壁」 が立ちはだかる。 地震発生の翌日から、自主的に3度にわたって福島・相馬市に救援物資を運んだ、神戸にある運送会社・伸東運輸の稲村義昭社長( 62 )も、行政の壁を感じたひとりだ。

 片道16時間かけて、自社のトレーラーで水、歯ブラシ、長靴、毛布などを運んだ稲村社長。 震災当日、被災地への物資運搬を決めた稲村社長が、神戸水上警察署で緊急車両の指定を受けようとしたら、こんなことをいわれたという。

 「震災が起きて救援が必要という証明が必要です。 被災した相馬市役所から証明の文書をファクスで送ってもらってください」

 この申し出に、稲村社長は驚きを隠せなかった。 「そんなん無理ですよ。 だって、申請してるのは、震災があった4時間後くらいのことなんですから、ファクスなんて送れる状況じゃない。 電話だけはなんとかつながったんで、相馬市から直接、兵庫県警察本部に電話してもらいました」 ( 稲村社長 )

 許可証が発行されたのは、翌3月12日の昼過ぎ。 もっと早く許可が出ていれば、もっと早く被災地に駆けつけて、救援物資を届けることができただろう。 3回の支援でかかった費用は、トレーラー延べ7台で約150万円。 内訳は運転手の給料とガソリン代だ。 すべて稲村社長の個人負担だった。

 震災から3週間近くが経つが、これからより一層、被災地への支援は必要になっていく。 阪神・淡路大震災で兵庫区の初代ボランティア対策委員長を務め、今回も被災地にはいった青山学院大学の塚本俊也教授は、行政の考え方を改める必要性を指摘する。

 


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