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 政府の原子力関連予算が、1年間で約4556億円。
 主に原子力関係の促進・研究などに使われる電源開発促進税の税収が、年間およそ3500億円。
 福島第一原発がある福島県に、1974年から2002年までに支払われた交付金の累計が、約1887億円。
 敦賀原発と高速増殖炉 「もんじゅ」 がある福井県に出された交付金は約3246億円( 1974~2009年 ) ……。
 現在、日本国内で稼動している原子炉は、、54基に及ぶ。 国=歴代政権、官僚機構と電力会社は、一体となって 「原子力は日本に必要不可欠だ」 とのキャンペーンを数十年にわたって繰り返し、世界で第3位の 「原発大国」 を作り上げてきた。
 ちなみに、原子力安全委員会の委員長・委員らの年俸は約1785万円。 学者たちを多く輩出してきた 東京大学には、東京電力から 「寄付講座」 として計6億円の寄付金が支払われている。
 これまで 「原子力」 のため、いったいどれはどのカネが費やされてきたのか。 マネーの奔流は 「利権」 となり、 「原子力絶対主義」 に繋がり、関係者たちの正気を失わせてきた。 そして、その結果起きたのが、福島第一原発における、破滅的な大事故である。
 当事者の一人として原発問題と向き合ってきた、前福島県知事の佐藤栄佐久氏は、こう語る。
 「日本の原子力政策は、次のようなロジックで成り立っています。 『原子力発電は、絶対に必要である』 『だから原子力発電は、絶対に安全だということにしなければならない』。
 これは怖い理屈です。 危ないから注意しろと言っただけで、危険人物とみなされてしまう。 リスクをまともに計量する姿勢は踏み潰され、事実を隠したり、見て見ぬふりをしたりすることが、あたかも正義であるかのような、倒錯した価値観ができてしまう」
 政府と東電は現在、数兆円以上に及ぶ賠償金を捻出するため、なんと電気料金の大幅アップを画策している。 これも国民の意思から乖離した“倒錯”だ。
 この国はいったい、どこでおかしくなったのか。 周期的に必ず巨大地震や大津波が襲ってくることを知りながら、なぜ54基もの原発を作ってしまったのか。 そもそもレールを最初に敷いたのは、言うまでもなく 「政治」 である。
 自らが原発誘致にも関わったことがある自民党の長老議員は、その“発端”についてこう語る。
 「原発というと、初代原子力委員会委員長の正力松太郎氏( 元読売新聞社主 )と、その盟友の中曽根康弘元首相の名が挙がる。 ただその背景には、かつての米ソ冷戦構造下における 『日本の核武装化』 への布石があった。 それが'70年代のオイルショックを経て、 『資源のない日本における原子力の平和利用』 と大義名分がすり替わり、政官民が一体となって原発を推進した」
 1基あたりの建設費用が5000億円以上とされる原発の建設は、政治家にとっては巨大な公共事業であり、利権となってきた。
 「原発を地元に誘致すれば、交付金はじゃぶじゃぶ入って来るし、選挙も安泰になります。 東京電力の役員が個人名で自民党に献金をしていたことが発覚しましたが、一方で民主党も、労組側、つまり 電力総連の支持を受けた議員 がいる。 そうやって原発は、これまで60年以上も乳母日傘おんばひがさで国の厚い庇護を受けてきたわけです」 ( 社民党・福島瑞穂党首 )
 昨年1年間に、電力各社が会長・社長ら役員の個人名義で自民党の政治団体 「国民政治協会」 に行った献金の総額は、およそ3500万円に上る。
 原発利権を、いわゆる土建屋的な見地で利用したのが 田中角栄元首相 だ。 地元の新潟に柏崎刈羽原発を誘致する際、田中氏は土地取引で4億円の利益を上げたことが知られている( 『原発と地震-柏崎刈羽 「震度7」 の警告』 新潟日報社特別取材班・講談社刊 )。
 原発立地の地元にカネを落として住民を懐柔する、電源三法( 電源開発促進税法、特別会計に関する法律、発電用施設周辺地域整備法 )交付金の仕組みを作ったのも、自民党の有力者だった田中角栄である。
 「原発建設はゼネコンや地元の土建業者に大きな利益をもたらし、それがそのまま選挙における票田になる。 選挙の際には、電力会社やメーカー、建設会社の下請けや孫請けの業者が、マシーンとして作用してきた。 そういう田中角栄の手法を引き継いだのが、その弟子である竹下登元首相らであり、さらに渡部恒三元衆院副議長や、小沢一郎元民主党代表らに受け継がれていった」 ( 自民党閣僚経験者 )
 原発推進に関して言えば、政界には右も左も、大物議員もそうでない議員も、まったく区別がない。 中曽根氏の直弟子で日本原子力発電出身の与謝野馨経財相。 身内の警備会社が原発警備を請け負っている亀井静香・国民新党代表。 日立製作所で原発プラントの設計に携わり、日立労組や電力総連から絶大な支持がある大畠章宏国交相 ……。
 ちなみに菅首相にしても、有力ブレーンの笹森清元連合会長は元東京電力労組委員長だ。 仙谷由人内閣官房副長官や前原誠司前外相も、原発プラントの輸出を進めてきた経緯があり、原発推進派に数えられる。 社民党や共産党を除き、政界で原発の危険性を訴えてきた政治家は、数えるほどに過ぎない。




 国策決定に大きな責任がある政治家がここまで一色に染まっているのだから、日本が容易に原発推進の渦から抜け出せないのも当然だ。 一方で、そんな政治家と結びつき、ある時には無知な政治家たちを操ってきたのが官僚機構である。
 「政治と電力会社を結びつけ、橋渡し役をしていたのが官僚です。 官僚にしても、どっぷり “原発マネー” に漬かっているんですよ」
 そう語るのは、経産省キャリアの一人だ。
 「たとえば自民党の電源立地調査会というのがあるのですが、経産省内では調査会の議員を原発推進への貢献度に応じ、A~Cにランク分けをしていました。 選挙の際にはランクに応じて、Aの議員なら50万円、Bなら0万円という具合に、電力会社から “政治資金収支報告書に載せなくていいカネ” を届けさせる。 そういうことをする官僚は電力会社の接待漬け。 完全に “あっち側” に行ってしまい、有力議員に頼まれ、その息子のパリ旅行に際して、電事連( 電気事業連合会 )のパリ事務所にアテンドさせたりしていました」
 一方で電力会社のほうも、常に官僚の動きをウォッチして、対策に余念がない。 別の経産省元キャリアはこう証言する。
 「役人が少しでもおかしな動き、例えば電力のライバルであるガス会社に有利なことを発言したら、電力会社の担当者がすっ飛んできて 『ご説明を』 となる。 その際には、説明資料にビール券が挟まれたりしています。 省内では、それらを集めて年末の忘年会や課内旅行の資金にしていました。
 他にも生まれ年のワインをもらったり、子どもの誕生日に豪華プレゼントをもらったり ……。 仲間内では、接待漬けで電力会社寄りになった奴を 『感電した』 逆にガス会社寄りの奴を 『ガス中毒になった』 と言って区別していたくらいです」


「感電? いいえ、官電」
  電力会社へ天下った経産官僚一覧

北海道電力山田範保環境省大臣官房審議官
松藤哲夫工業技術院総務部長
村田文男資源エネルギー庁石炭部長
干頭清之特許庁総務部長
岡松成太郎商工次官
東北電力西村雅夫中小企業庁次長
佐々木恭之助東北通商産業局長
松田泰資源エネルギー庁長官官房審議官
黒田四郎名古屋通商産業局長
中川理一郎鉱山石炭局長
宮脇参三東北地方商工局長
奥田新三商工次官
東京電カ石田徹資源エネルギー庁長官
白川進基礎産業局長
川崎弘経済企画審議官
増田實通商産業審議官
石原武夫通商産業事務次官
北陸電力荒井行雄国土庁長官官房審議官
上村雅一中国通商産業局長
高橋宏四国通商産業局長
和田文夫公益事業局技術長
江上龍彦科学技術庁振興局長
三ツ井新次郎商工技監
中部電力小川秀樹防衛省防衛参事官
水谷四郎生活産業局長
新井市彦国際科学技術博覧会協会事務次長
長橋尚公益事業局長
中川哲郎経済審議庁審議官
関西電力迎陽一大臣官房商務流通審議官
岩田満泰中小企業庁長官
長田英機中小企業庁長官
岩本令吉大阪工業技術試験所長
柴田益男資源エネルギー庁長官
井上保公益事業局長
上野幸七通商産業事務次官
鶴野泰久公益事業局公益事業課長
中国電力末廣恵雄資源エネルギー庁長官官房審議官
松尾泰之広島通商産業局長
進淳科学技術庁長官官房長
四国電力中村進原子力安全・保安院首席統括安全審査官
落田実工業技術院総務部技術審議官
有岡恭助国土庁長官官房審議官
田中好雄科学技術庁振興局長
九州電力掛林誠通商政策局通商交渉官
横江信義大臣官房審議官
井上宣時大臣官房審議官
川原能雄特許庁長官
香田昭公益事業部ガス保安課長
安達次郎公益事業局長
小出栄一経済企画事務次官
沖縄電力遠藤正利中小企業事業団機械保険部長
小野英三郎中部通商産業局公益事業北陸支局長
仲井員弘多工業技術院総務部技術審議官
久慈偉夫資源エネルギー庁長原子力産業立地企画官
経産省公表データから作成。 表は主要10社分。
名前の右欄は最終官職。通産省、商工省OBも含む。
 経産省と電力会社の癒着の象徴が、5月2日に明らかになった 「電力会社への天下りリスト」 だ( 左表参照 )。 経産省の発表によれば、過去50年に68人の官僚が電力会社に天下りしていた。 東京電力に天下つた石田徹前資源エネルギー庁長官は4月末に辞任を余儀なくされたが、現在も13人が役員や顧問として電力会社に在籍している。
 「石田氏などはエネ庁長官時代に電事連の意を受け、再生可能エネルギーでなく原発を推進するエネルギー基本計画を立てた張本人です。 彼らは、いったん政府系銀行などに天下り、そこをクッションにして電力会社に再就職する。 そして東電副社長などの“指定席”に収まるのです」 ( 天下り問題を国会で提起した共産党の塩川鉄也代議士 )
 官僚と電力会社が“ズブズブ”だったのは、何も経産省だけではない。 原子力関連予算4556億円のうち、資源エネルギー庁や原子力安全・保安院を抱える経産省の取り分は1898億円だが、日本原子力研究開発機構を管轄する文部科学省は2571億円、原子力安全委員会が所属する内閣府には17億円の予算が計上されている。
 いま政府は、福島県内の子どもの被曝量の許容値を年間1ミリSvから20ミリSvに引き上げるなど、 「放射能は危険がない」 との正気を疑うキャンペーンを張っているが、原発を監視し、安全性を確保すべき立場の監督官庁が電力会社と一蓮托生なのだから、政府内でのまともな議論など、ハナから望むべくもないわけだ。
 そして、この政官財一体となった原発推進キャンペーンに、資金や研究環境の便宜供与を受けて加担しているのが、いわゆる“御用学者”たちだ。
 事故発生後、 「原発は絶対に爆発しません」 と菅首相に吹き込んでいた原子力安全委員会の班目春樹委員長( 元東大工学部教授 )を筆頭に、空疎な“安全神話”を唱える学者たちの存在が表面化した。 端から見たら非常識としか思えない、こうした御用学者が居並ぶ理由を、元京都大学原子炉実験所講師の小林圭二氏はこう説明する。
 「電機や機械と違い、原子力の場合は研究におカネがかかり過ぎるのです。 国や電力会社がカネを出さなければ研究ができない異質の分野が原子力なのです。 だから研究の裾野が広がらず、異なる価値観が共存することもない。 したがって原子力村には相互批判がなく、いつでも 『原発は安全』 になってしまう」
 原子力村では、准教授になった途端に国から声がかかり、各種委員会など原子力関連の政府組織に名を連ねることができるようになる。 すると、より詳しい研究資料の入手もできるようになり、学生の指導もしやすくなる。 電力会社から多額の謝礼で講演の依頼なども入るようになり、定年後には各社が運営する研究所所長などのポストも用意されるという。 しかし、正直に原発や放射線の危険性を指摘して、“ムラ”に反逆したと判定されてしまうと、御用学者とは正反対の恵まれない学究生活が待ち受けているのだ。 東京大学工学部原子力工学科の1期生で、立命館大学名誉教授の安斎育郎氏はこう語る。
 「大学院生だった1960年代後半、日本科学者会議などの場で原子力行政を批判したところ、たちまち学内で干されました。 その後、米国製軽水炉の欠陥を指摘したり、原発予定地の住民の相談に乗って反対運動に加わると、 『反原発を扇動している』 などと言われるようになり、各電力会社に“安斎番”の社員まで置かれるようになりました」
 その当時、安斎氏が講演すると、必ずそうした“番”の社員が内容チェックにやってきて、彼らや公安関係の刑事から尾行されることもあったという。 「東電の社員から、 『3年くらい海外に行ってくれないか。 カネは用意するから』 と言われたこともあります。 もちろん断りましたが、私に消えてほしかったのでしょうね。 東大には17年間勤務しましたが、最後まで助手のままで、その間、補助金はほとんどもらえませんでした」 ( 安斎氏 )
 原発は絶対に安全だという“宗教”を信じない者は、 「偏ったイデオロギーの持ち主」 などと言って、研究費も与えずパージしてしまう。 それが、官僚と電力会社の手口だ。 そして、自分たちに都合のいい学者を出世させて権威として持ち上げ、原子力安全委員長などの重要ポストに据える。
 本来、委員長は 「原子力行政に絶大な権力を持っていて、原子炉メーカーが視察を受ける際、かつては工場の入り口に赤じゅうたんを敷いたほど」 ( 大手電機メーカー社員 )の存在だという。 だが、委員長を指名するのはスポンサーである役所。 産官学が同じ 「原子力推進」 で染まってしまっているのだから、そこには批判や反省が存在する余地はまったくない。




 国策として巨額の国費=税金を投入し、原発建設を推し進めてきた政治家と官僚機構。 彼らの庇護を受け、原発運用で巨額の利益を上げ続けてきた電力会社と関連企業。 そして、そこに 「安全だから」 とお墨付きを与えてきた学者たち ――
 この渦の中で、原発マネーに翻弄されてきたのが、原発を誘致してきた 「地元」 である。
 冒頭で触れたように、原発が稼動する地域では、住民懐柔の手段あるいは“迷惑料”として、国費から多額のカネが交付されてきた。 福島県の場合、電源三法による交付金は加年度で約140億円に達しており、そのうち56億円が、福島第一原発、第二原発が立地する浜通りの4町( 双葉町、大熊町、富岡町、楢葉町 )の収入になっている。
 これらの町の周辺には、原発マネー由来の健康施設や、運動公園、野球場が立ち並ぶ。 東電が出資して運営し、現在は事故対策の現地本部が置かれているスポーツ施設 「Jヴィレッジ」 ( 楢葉町 )もその一つだ。
 原発マネーにより、こうした地域の一部の人々は、確かに恩恵を受けてきた。 双葉町議を8期務めた、丸添富二氏がこう話す。
 「第一原発ができた当時は、ほとんど皆もろ手を挙げて賛成していましたね。 政府や県、東電は、明るい未来・安全な原発を喧伝けんでんした。 歴代の町長は地元で建設会社や水道工事会社、商店などを経営していましたから、原発の恩恵をずいぶん受けたはずです。 一般住民も、漁業関係者で1億円もらったような人もいた」
 カネが落ちるとともに地域には雇用が生まれた。 学校では子どもたちが原発の素晴らしさを教え込まれ、 「なぜ原発を批判する人がいるのか信じられません」 などと、作文に記した。
 だが実際には、町々は事故の以前から、原発マネーによる“バブル”の後遺症に苦しんでいたのだった。
 「最初は大きなおカネが落ちても、10年も経つと交付金の額も下がってきて、今度は作りすぎたハコモノ施設の維持費でクビが回らなくなってしまった。 クスリ の効果が切れるようなものです。 よその人から見たら相当のおカネで潤ったように見えるのでしょうが、実際には当初いた原発長者の大半が消滅したのですよ」 ( 富岡町の元郵便局員で原発問題に40年取り組んできた石丸小四郎氏 )
 原発が落とすカネで、過疎地だった町はしばらくの間、賑わったように見えた。 だが、やがて原発の出入り業者の決定が入札制に変わり、地元業者は弾き出されるようになった。 夢の町になるはずだった双葉町は、'08年度には原発のある町で全国唯一、財政の早期健全化団体に転落している。
 結果的に、これらの町の住民の多くが、原発の事故によって帰る家と土地すら失いつつある。 関係のない人々が 「カネをもらったクセに」 と批判するのは簡単だが、そう仕向けて 地元を骨抜きにしたのは国であり、電力会社なのだ。 住民の信頼を裏切り、 「想定外」 という言葉の連発で責任逃れをする者たちの罪は、あまりに大きい。
 環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也氏は、 「産官学が一体化した原子力村を解体しなければならない」 として、こう語る。
 「原発推進によって利益を得るごく一部の人間たちのために、消費者も世界一高い電気料金を払わされているのが現状 です。 今後は原子力安全委員会など、官僚と電力会社にとって都合のいい人たちだけのクローズドーコミュニテイを解き、第三者や市民の目が行き届ぐ組織に変えていかなければなりません」
 前出の佐藤氏もこう語る。
 「私はいまある原発をすべて止めてしまえ、とは言いません。 しかし、有名無実化している原子力安全委員会を独立した存在にするなど、信頼できる組織に作り直す必要があります。 安心とは、信頼です。 そうしないと、日本は世界からの信用も失うでしょう。 すでに失って三流国になりつつあるかもしれないのに、四流国へと成り下がってしまうかもしれません」
 福島第一原発の爆発は、原子力村が作り上げて来た虚構を同時に吹き飛ばした。 日本の未来にとって、原発は必要なのか否か。 いま国民全体が問われている。










 原子力関係者以外にほとんど存在すら知られていないパンフレット( 冊子 )がある。 社団法人・日本原子力産業協会が発行する 『原子力産業バイヤーズーガイド』。 どういう企業がどういう製品・サービスを提供できるか、厚さ1cmほどの紙量一杯に製品名、企業名がズラリと記載されており、さながら原発ビジネスの見本市となっている。
 ためしに 「原子炉」 の欄を開くと、富士重機、三菱重工業、三菱商事と見慣れた企業名が並ぶ。 ただ、さらに読み進めると、 「サーメット」 「中性子カウンタ」 「放 射性医薬品」 など、専門家以外は聞いたこともない製品名が次々と出てくる。 こうした専門製品を作っているのは、原子燃料工業、仁木工芸、栄研化学など聞き馴染みのない企業ばかりだ。
 記載されている製品分類をざっと数えると、200種ほど。 べールに包まれた原発ビジネス。 意図せずして、その裾野の広さが垣間見える。 貴重な文献々となっている。
 東京電力・福島第一原発での事故を受けて、原発ビジネスについて大手メディアでも語られることが多くなった。 たとえば 「原子炉を新たに一台作るのに3000億円」 はよく聞かれる数字だろう。 しかしこれをもって 「原発ビジネスは巨大産業だ」 と語るのは早計である。 前述したように、原子力発電所の装置製造自体は原発ビジネスのほんの一部でしかないからだ。 「作った後には保守、技術コンサル、汚染除去など関連ビジネスが発生、潰すときには廃炉化ビジネスも生まれる。 合わせれば3000億円の何倍もの市場規模になる」 ( 一橋大学教授の橘川武郎氏 )
 前出・日本原子力産業協会が発行する原子力産業実態調査報告を紐解けば、その市場規模は年間1兆5000億円超と算出されている。 修繕費だけでも約3000億円、同じく核燃料費で5000億円ほどのカネが動くという。 携わる企業は数知れず、ばら撒かれるカネも膨大なのが原発ビジネスといえる。 ただそれだけではない。
 「胡坐をかいていても、毎年決まった儲けが入ってくるのだから、これほどおいしい商売はないと思ってきた。 3.11までは」
 東電の原発関連事業を受注する中堅企業幹部はこう語る。 どういうことか。
 たとえば原発のメンテナンス作業、保守作業一つをとっても、それにかかわる企業は大手から中小、地元零細まで様々ある。 しかし、いずれの企業も自社のパイを増やそうと過剰に争うことはない。 電力会社の側も各社の分け前を大きく変えるような発注変更は行わない。 暗黙のルール々が遵守されているという。
 「不思議とみなが共存できるように融通しあうインナー・サークルができているんです。 だから数十億円から数百億円規模の売り上げが毎年安定的に懐に舞い込んでくる」 ( 前出・幹部 )
 一方で“新規参入組”やさらにパイを広げたい“野心家”は、熾烈な接待攻勢を繰り広げてきた。 原発ビジネスの裏事情をよく知る人物はこう語る。
 「正月に電力会社幹部に挨拶詣でするのはもちろんのこと、役員として電力幹部を迎え入れたり、用地買収を肩代わりするなど“汚れ仕事”を請け負う企業もあった。 中でも資機材の発注の総元締たる資材部は、業者にとってなんとしてでも寵絡したい部署。 資材部の課長クラスとなれば大手ゼネコンの役員を呼びつけることができる ほどで、受注企業は大金欲しさに、電力会社の“小僧”にペコペコと頭を下げてきた」
 巨大マネー製造機 ―― その発注独占権こそが、電力会社の力の源泉にほかならない。
 原発黎明期前を振り返れば、日本全体の設備投資額の20%を占めてきたのは、電力会社が投資する水力・火力発電所などへの設備投資だった。 だから電力会社には高度成長を支えてきたという自負がある。 それは裏を返せば、電力会社が力の源泉を“配金力”に拠って立つことで、財界での地位を上座に押し上げてきた歴史でもある。
 中でもピーク時( '98年 )に年間1兆5000億円以上、直近でも毎年6000億円近い設備投資 10電力合計額の約3割に当たる額 をなす東京電力は、 「公共事業を発注してくれる国のような存在」 ( 東電に融資するメガバンク幹部 )として圧倒的な存在感を発揮し、自他共に認める財界の仕切り役へ登りつめてきた。
 具体的に見てみよう。
 1990年にインフラ企業として初めて平岩外四( 故人・東電社長、会長を歴任 )が経団連会長に就任して以来、那須翔、荒木浩、勝俣恒久、清水正孝ら歴代社長が 経団連副会長ポストに“定席”を維持。 経済同友会の代表幹事に、10年以上という異例の長きに亘って君臨したのは木川田一隆( 故人・東電社長、会長を歴任 )であり、以降、那須、荒木、南直哉が副代表幹事に就いてきた。
 「東電の“使いっぷりの良さ”は随一だった」 と長く財界を担当した全国紙経済部OB記者は言う。
 「一例を挙げれば、東京・大手町に建つ経団連ビル。 この土地代・建設費用などが85億円に膨れ上がった時、1億5000万円をポンツと寄付したのが東電だった。 ほかにも経団連には 『花村リスト』 と呼ばれる政治献金の割り振り表があり、年間100億円以上と言われる献金総額の半分を出していたのが、電力、鉄、銀行、自動車、家電。 中でも電力、鉄、銀行が御三家と呼ばれ、東電は潤沢な資金の象徴だった」




 かつて経団連が 「口だけ出すが、カネもヒトも出さなくなった」 と政界から批判された時期、事態を受けて経団連内候補として政治家を擁立することになった際に選ばれたのは東電副社長の加納時男氏だった。 当時を振り返り加納氏は 「なんで僕だったのかわからない。 自分でも驚いた」 と語るが、人選の背景には、選挙・政治活動にはとかくカネがかかることを十分に知る財界が、東電マネーを期待したという事情 があったと言われている。
 こうして東電の存在感が膨らむ一方、勢い財界から消えていったのが 「反原発」 「反東電」 の声である。
 象徴的なシーンがある。
 1980年代後半。 折しもチェルノブイリ原発事故を受けて日本で反原発運動がピークに達していた頃、経団連では原子力産業への対応について検討が加えられることになった。 いま振り返れば、戦後一貫して原発を推進してきた経団連が立ち止まれる、最初にして最後の機会だった。
 ここで原発問題の説明を求められたのは、反原発の論客ではなく、当時の東電社長・那須翔だった。
 「国民の間に今回のようにいわれなき不安感・不信感が拡大することは極めて憂慮すべき事態である」
 「電力等原子力関連業界では、一体となって原発の安全性に関する広報をさまざまな手段で推進していく。 政府においても、この方針が確認されている」
 那須は力強くこう語ったという。
 原発ビジネスが徐々にスタート、その旨みが財界に知れ渡ってきた時期でもある。 那須の言葉から東電が原発推進路線を突き進むのは明らかだ。 ここで反発すればどういうことになるかはわかりきっていた。
 「環境と矛盾しないエネルギー源として原子力の役割を重視すべきである」
 経団連の最終的な意見表明には、“下心”が見事に反映されていた。
 それから約20年。 福島第一原子力発電所の事故を受けて世論から集中砲火を浴びせられている東電を、いち早く表立って擁護したのはほかならぬ経団連だ。
 米倉弘昌経団連会長( 住友化学会長 )が 「( 原発が )1000年に一度の津波に耐えているのは素晴らしい」 「東電は甘くなかった」 など歯の浮くような東電擁護 発言を連発。 同じく奥正之全銀協会長( 三井住友FG会長 )も巨額の損害賠償について 「政府として力強く関与してほしい」 と語り、メガバンクや信託銀行など合わせて2兆円規模の大型融資をさっそく決定した。
 財界からの援護射撃は分厚い。 ただ今回はその裏に下心があるばかりではない。 メガバンク行員は 「東電が潰れれば少なくない金融機関も潰れますから」 と本音を吐露する。 説明が必要だろう。
 東電の発電所立地にかかる巨額の設備投資費を供給してきたのは、第一生命を中心とする生保会社融資団、三井銀行( 現・三井住友銀行 )を中心とする市中銀行融資団、それに安田火災海上保険( 現・損害保険ジャパン )を中心とする損保会社融資団だ。 「東電は絶対に潰れない」 という理由から、融資だけでなく、増資や社債の引き受けもしてきた。 特に社債での資金調達は盛んで、ここ10年は平均して毎年5000億円ほど発行、東電債は国内社債発行残高( 約60兆円 )のうち、一企業として最も多い約5兆円を占めるまでになった。
 その多くを持つのが銀行、生保といった金融機関である。 株式にしても全体の3割強が金融機関の保有で、第一生命、日生、みずほコーポレート、三井住友が持つ東電株だけでも合計1億6000万株以上に膨れ上がっている。
 だから東電が法的整理となり東電株が紙くずになれば、数千億円規模の損失がのしかかる。 社債も価値はゼロ、貸し付けた大型融資も焦げ付けば、即経営問題に直結する。
 「ただ銀行が融資を止めれば東電は資金繰りが逼迫、法的整理が現実昧を帯びてくる。 とはいえ焦げ付きも不安。 巨額賠償の行方次第ですが、これからは東電が潰れるのが先か、融資に耐えられなくなるのが先か、チキンレースになる」 ( 生保幹部 )
 財界全体にしても東電の賠償問題が身近な危機となっている。
 「賠償が膨らめばその分のコストが電気料金に上乗せされる公算が高い。 ただでさえ世界トップレベルに高い電気料金がさらに上がれば、特に電力消費量の多い製造業は耐えられない。 石油ショック以来の東電ショックで、財界全体が瀕死に陥る危険が高まっている」 ( 証券会社のアナリスト )
 巨象から財界が得た恩恵は計り知れない。 ただその分、巨象が転べば、自らが落ちる底も深くなる。 持ちつ持たれつの関係を突き進み、いつしか東電と一心同体になった財界はいま、そんな隘路に苦しんでいる。








 「福島第一原発で事故が起こった直後、旧知の東電幹部と会ったのですが、この幹部が原発の状況と同様に心配していたのが、“接待リスト”が表に出やしないか、ということでした。 実は、東電にはマスコミ各社の幹部や記者の名前が一覧になった接待リストがあるんです。 名前の横に社内や言論界への影響力に応じてA~Cのランク付けがされているそうですが、どさくさの中でこれが流出すれば、ただでさえ原発の対応で追われているのに、新たな問題に悩まされることになる、と頭を抱えていましたよ」
 こう語るのは全国紙の社会部ベテラン記者。 原発マネーによって骨抜きにされてきたのは、政・官・財・学だけではない。 その癒着を批判すべきマスコミも、電力会社からの接待と多額の広告宣伝費によって“買収”されできたのである。
 新聞社、テレビ局、出版社 ―。 各メディアの少なからぬ記者や社員が、電力会社の広報部や総務部の社員からの“接待”を受けた経験があるはず、と同記者は語る。
 「しゃぶしゃぶ、焼き肉、寿司さらにはクラブまで、様々な店が接待の場として選ばれます。 どれも一人1万円は下らない高級店ばかりですが、電力会社の広報担当者は連日これらの店に記者を誘い出します。 一対一ではなく複数対複数でしたから、総額は相当なものだったでしょうね。 原発が事故を起こしたとき、報道内容に一定の配慮をしてもらうことが大きな目的でしょう」




 親交が深まったメディア関係者には、後日こんな電話がかかってくる。
 「『今度○○原発の視察に行きませんか』 と、視察ツアーのお誘いが来るんです。 電力会社の社員と原発施設を一通り見て回るのですが、夜は一泊数万円もする高級旅館に泊まり、コンパニオンを伴った宴会が深夜まで行われます。 さらに翌日はゴルフに行くこともある。 もちろん費用はすべて電力会社持ち。 各社のデスクや部長クラスが参加するのですから、社全体が“癒着”しているとみられても仕方がないでしょうね」 ( 同ベテラン記者 )
 接待や視察ツアーのときに、電力会社の社員が 「もし原発事故が起こっても、記事には配慮してください」 「原発を持ち上げる記事を書いてください」 と露骨なお願いをすることはない。 しかし、こんなもてなしを何度も受けていれば、いざ事故が起こったときには 記者の筆もにぶる と考えるほうが自然だろう。 さらに、こんな“依頼”が会社に持ち込まれることもある。 全国紙デスクの話。
 「原発そのものの記事ではないですが、 「取材経費を全額負担するので、住民投票の問題点を指摘する記事を書いてほしい」 と電力会社から相談を受けたことがありました。 原発廃止運動が盛んだった頃の話ですが、電力会社にとって住民投票が頻繁に行われることは望ましいことではなかったのでしょう。 旅費も宿泊費も電力会社持ち、海外取材もオーケーという信じられないオファーでしたよ。 結局、社の判断で、記事を掲載することになりました。 もちろん取材費はあちら持ちで、です」
 原発推進のためなら、必要な費用はいくらでも投じる、そんな広報戦略が垣間見える。 また、“広告”という形で電力会社が独自に記事を作成することもあるが、これにも破格の費用が投じられるようだ。 スポーツライターの玉木正之氏は、過去に原発の広告記事への出演を依頼されたが、そのときの出演料の額の大きさに戸惑ったという。
 「ある広告代理店を通じて、 『電力会社からの依頼で新聞に原発についての1ページの広告記事を出すので、玉木さんに原発についての意見を聞きたい』 という依頼が来たのです。 『率直な意見をお願いします』 と言われたので、 『原発はもう作るべきではない』 という旨の話をしたところ、記事の方向性と折り合いがつかないということで結局掲載されませんでしたが、その代理店から提示された出演料は500万円でした。 桁がひとつ違うのではないかと驚きましたね」
 これらの話からも窺えるように、電力会社は原発推進のためなら、カネに糸目をつけない。 実際、電力会社は広告宣伝費に多額の費用を投入している。 東京電力15位、関西電力27位、東北電力66位、九州電力74位、中部電力85位 ―。 2010年版 「有力企業の広告宣伝費」 ( 日経広告研究所 )の上位100社一覧には、5つの電力会社の名前が並んでおり、各社の広告宣伝費( 社によっては 「普及開発関係費」 と呼ぶ )は東京電力の約243億円を筆頭に、関西電力の約198億円、東北電力の約86億円と潤沢だ。
 また、電力会社のみならず、原発産業に関連する企業・団体も、多額の宣伝費を有している。
 「各電力会社によって設立されたNUMOA( 原子力発電環境整備機構 )という団体は、放射性廃棄物の地層処分の啓蒙活動を進めることが目的ですが、そのPR費用が潤沢なことで有名です。 '08年の広報活動費は40数億円で、地方紙に数10回広告を出し、テレビでもフジテレビを中心にスポット広告を何度も流していました」 ( 民放局広告担当者 )
 電力会社10社と、電気事業連合会など関連団体の広告宣伝費を総計すると、その額は1000億円近くに達し、トヨタやパナソニックといった製造業のそれを簡単に抜いてしまう。 「それぞれのメディアに投じられる額はテレビが圧倒的で8~9割。 残りが新聞社、出版社などの媒体に分けられる」 ( 大手出版社広告部社員 )そうだが、独占事業で 他社との競合がない電力会社が、これほど巨額の広告宣伝費を用意しているのは、単に企業イメージ向上や原発推進のPRのためではない。 広告料をぱら撒いておけば、いざ 報道機関が“反原発報道”に取り組もうというとき、広告出稿を取りやめることをちらつかせて、報道をストップする、あるいは内容を和らげるよう“圧力”をかけることができる。 要は、メディアの首根っこを押さえておくために必要なのである。
 事実、過去に原発問題を取り扱った番組を放映したテレビ局に対して、電力会社がスポンサー料をちらつかせて“圧力”をかけ、番組の続編の制作をストップさせたということが起こっている。 1992年、広島テレビで 「プルトニウム元年・ヒロシマから」 という、原発とプルトニウムの問題を扱ったドキュメント番組が制作ざれたときのことだ。




 広島テレビの報道部ディレクター( 当時 )の岡原武氏を中心に制作された 「プルトニウム元年」 は、原発の問題に正面から取り組んだ番組は珍しかったため、放送後は各方面から大変な反響があったという。 岡原氏らは続編を制作し、'93年までに3本のシリーズ作品が放送された。
 「ところが、第3作目を放送したあとに、問題が起こったんです」
 というのは、当時を知る広島テレビの関係者。
 「放送終了からまもなく、中国電力の広報担当者が番組制作者のところを訪ねてきたんです。 第3作目は、原発で働く労働者の健康問題について触れたのですが、この内容が一方的過ぎる、ということを伝えに来たようです。
 さらにこの突然の来訪の後、中国電力が、日曜の夜に放送する予定だった広島テレビの新番組のスポンサーを突然 『降りる』 と通告してきたのです。 中国電力は同局の最有力スポンサーで、新番組にも数千万円のスポンサー料が払われる予定だったので、広島テレビにとっては大打撃 となりました。 中国電力は最後までスポンサー降板の理由を明かしませんでしたが、 『プルトニウム元年』 を放映したことに原因があるのは明らかでした」 ( 同広島テレビ関係者 )
 『プルトニウム元年』 は第4作目の構想もあったというが、同シリーズの続編が作られることはなかった。
 「それだけではありません。 '95年の春の人事異動で、岡原氏をはじめ、当時の報道制作局長、次長、プロデューサーの4人が営業部へ配転となったのです。 報道 制作局の幹部が一斉に異動になるのは、明らかに異常な事態ですから、局内が騒然としたことを覚えています」 ( 同前 )
 この件について広島テレビに取材を申し込むと、
 「'95年3月8日付で定期異動を行いましたが、このときは社員の4分の1が該当する大規模な異動で、 『管理職ベテランに新しい職種に挑戦してもらい新時代に対応する』 『報道制作局の若返り』 などを目的としたものだった」
 と、番組の内容が岡原氏らの異動の理由ではないとのことだった。 しかし、岡原氏は'93年にドキュメンタリー関連の賞をふたつも受賞した敏腕ディレクター。 そんな人物が 「新しい職種への挑戦」 などの理由で突然異動を命じられるとは、にわかには考えにくいのではないか( なお、中国電力にも 『プルトニウム元年』 が原因でスポンサーを降りたのは事実かどうか、取材を申し込んだが、 『( 昔の話なので )現在は確認できない』 との回答があった )。
 広告収入に苦しむ地方局にとって電力会社は最も有力なスポンサーである。 これにそっぽを向かれては経営が不安定になるため、電力会社の意向に沿わない番組制作は極めて困難になっている。 広島テレビの一件を通して、電力会社から多額のスポンサー料を貰っているメディアが、原発政策を批判できなくなっている構図が透けて見えてくる。
 福島原発事故後、東京電力はテレビ朝日の報道ステーションなどに 「お詫びCM」 を流しているが、当然これも広告出稿料を払って放映している。 そこには 「おカネを出しているのだから、報道にはひとつご配慮を」 という東電側の意図も読み取れるのである。
 





( 2011.03.27 )


 なんと5億円! 寄付講座だけでも、これほどの大金が、東京電力から東京大学大学院の工学研究科にジャブジャブと流し込まれている。 これは、東大の全86寄付講座の中でも、単独企業としてあまりに突出した金額だ。
  ( 東京大学寄付講座・寄付研究部門設置調( 部局別 ):http://www.u-tokyo.ac.jp/res01/pdf/20110301kifu.pdf

 東大だけではない。 東工大や慶応義塾大学など、全国のあちこちの大学の大学院に、東京電力は現ナマをばらまいている。 これらの東京電力のカネの黒い本性は、2002年の長崎大学大学院で暴露された。 そもそも東京電力が、自分の管区とはほど遠い長崎大学に手を伸ばしたことからも、手口の異様さがわかるだろう。

 長崎大学医学部は、戦前の官立六医大の一つという伝統を誇り、その大学院医学研究科を2002年4月から医歯薬学総合研究科へと発展させることになった。 ここに突然、東京電力が、9000万円で講座を寄付したい、と言い出した。 テーマは、低線量放射線の人体影響。 そのうえ、その趣意書からして、原発推進とも受け取れる表現が踊っていた。 これに対し、当時の学長、池田高良( まさに被曝腫瘍が専門 )は、趣意書の書き直しのみで、カネの受け入れを強行しようとした。





( 2010.11.26 )


 10月19日に弘前市で行われました 「原子燃料サイクル意見交換会」 について、安藤晴美県議が情報開示請求しました。 その結果、わかったことです。

 企画は、資源エネルギー庁と青森県の共催で、( 株 )RABサービスに委託されて行われており、委託料は 129万6750円。 その内訳は、ジャーナリストの田原総一郎氏の講演料が110万円。 交通費8万円。 司会料3万円。 管理手数料( 食費含む )2万5千円。

 安藤晴美県議は、この会に参加したそうで、安藤晴美のブログ に、感想を掲載しています。

 田原総一郎氏は、前半の30分は、原発の必要性と日本の原発の技術がいかに優れているか、また中東やベトナムに輸出できず、韓国に先を越されたのは、日本の商売が下手で、仲間づくりが下手だから …… などと述べたそうです。 その後の30分は、もっぱら最近開かれた国会での予算委員会の話や中国との尖閣諸島をめぐる問題、反日デモにまつわる中国人の反政府感情などの話をしたそうです。

 しかも、安藤県議が、 「再処理施設のガラス固化技術が行き詰まっている問題をどう思うか」 と質問したのに対し、 「困っているのは原燃でしょ? あなた、何かそれで困ることあるの」 と発言したそうです。

 しかも、最後に、発言した方が安全性の問題を指摘したところ、 「あなたのような方が頑張らないと ……」 とかいいながら、最後まで答えようともせず、そそくさと部屋を出ていったのだそうです。

 こういう不誠実な講師を110万もの大金( 税金 )を投入して招聘するという県の見識を疑いますね。


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