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( 2012.09.15 )


 この夏突然国家戦力として世に問うた 「エネルギー・環境会議」 の政策議論。

 国民の声を直接政府に発する場でもあった。 その結果の政府の政策として、2012年9月14日 「革新的エネルギー・環境戦略」 として公表された。

 しかし政府が示した政策内容は、原子力発電所の2030年代での廃炉と、核燃料リサイクル事業の継続という、原子力事業の 「ブレーキ」 と 「アクセル」 を同時に両足で踏むという、禁じ手をこれから行っていく という内容であった。

 きっと、 「シナリオ15」 が落としどころと最初から算段していたのだろうが、実際蓋を開けると、 「シナリオゼロ」 と 「シナリオ20~25」 の二極化となってしまいその両方の相反する意見を政策として、とにかく取り込んだだけの物だった。

 しかも、原子力発電の全廃に向かうと言ったのに、東日本大震災以降建設が中止している、電源開発 「大間原子力発電所」、中国電力 「島根原子力発電所3号機」 について、建設再開を認めるという。

 はやくも、 「ブレーキ」 から足を下ろしている。 こんな意味のない作文を書くために、この夏、多くの国民の声を集めたのかと思うと憤りすら抱いてしまう。

 そうするなら、最初から原子力政策の継続とそれに対しての安全施策を打ち出したほうが良かったのではないだろうか。

 2009年、鳩山政権が、普天間基地の沖縄県外への移設を打ち上げた構図と同じである。

 民主党政権は、一体何だったのだろうか。

 2009年夏多くの国民は、行き詰まった自由民主党政権とその自由民主党政権下で肥大化した役所の役人に対して、お灸をすえる意味も含めて、民主党政権を選択したはずである。

 きっと、近いうちにおこなわれる総選挙では、自由民主党か、日本維新の会のどちらかが政権与党になるはずである。

 自由民主党が、政権与党になれば原子力発電所の全廃は反故になり、原子力政策は今まで以上に進むことになるのだろう。

 私たち日本国民は、福島県の現状が、二度と起こらないと思っているのだろうか。

 青森県は、原子力ムラからのばらまき政策を継続してくれないと困るという。

 福島県の多くの人たちは、いまだ終わらない避難生活を続けていて、ろくに賠償もされないまま悲惨な生活を続けているという現状を、青森県の人々、そして、日本の多くの人々はどう思っているのだろうか。

 日本の国土は残念だが、地震の巣の真上にある火山大国の島国なのである。

 いくら、自然災害に打ち勝とうと、英知を結集して物を作っても、自然エネルギーに打ち勝つことは不可能である事をしっかり学ぶべきである。

 結局、 「原子力ムラ」 の私利私欲に、我々一般国民は勝てない事はこれではっきりした。

 大東亜戦争に大日本帝国が突き進んで、戦争を終結することが出来なかった事態の推移がよく解る。 きっと今の原子力政策論争と同じだったのだろう。

 歴史は繰り返す。 そして、歴史に学ぼうとしない日本。 大変悲しい事である。





( 2012.09.15 )

  


 政府がJパワー( 電源開発 )大間原発など建設中の原発の工事続行を認めた背景には、原発稼働ゼロに対する青森、福井両県など立地自治体の強い反発がある。 長年、国の原子力政策に協力し、原発を地域振興の柱に据えてきた地元にとって、建設中止は容認しがたい政策転換だからだ。

 ただ、政府は新たなエネルギー・環境戦略に40年運転制限や新増設禁止を盛り込み、 「2030年代に原発稼働ゼロを目指す」 と明記した。 40年運転制限を機械的に当てはめれば、大間原発が2010年代に営業運転を開始したとしても 「寿命」 は50年代で、30年代の稼働ゼロと合致しない。

 また、政府は建設続行を認めながら、実際の稼働の判断は原子力規制委員会に委ねる方針を示した。 規制委の判断次第では 「造ったが動かせない」 事態さえ想定される。

 政府は新戦略で脱原発方針を打ち出しながらも、核燃料サイクルの継続もうたっている。 相次ぐ新戦略の矛盾に対しては、地元自治体ですら 「戦略と整合性が取れない」 ( 青森県の三村申吾知事 )、 「ゼロを目指しながら再処理というのは矛盾を感じる」 ( 六ケ所村の古川健治村長 )と批判を強めている。

 調





国益を損なう 「原発ゼロ」 には異議がある

 政府は 「2030年代に原子力発電所の稼働をゼロ」 とするエネルギー・環境戦略を決めた。 「原発ゼロ」 には改めて異議を唱えたい。 原子力政策に協力してきた青森県などへの説明を後回しにした決め方にも問題がある。

 新しい戦略はエネルギー政策の歴史的な転換を意味する重い決定のはずだが、土壇場で見せた政府の判断の軽さにはあきれる。 そこには国の安全保障と国民生活の将来について責任をもって考え抜く姿勢があったようにはみえない。 ただ政策の辻つま合わせに終始したのではないか。

 青森県は長年、国の核燃料サイクル政策に協力し各地の原発から使用済み核燃料を受け入れてきた。 また米英仏などとは濃縮ウランの供給や使用済み核燃料の再処理委託で協力関係を築いてきた。 政府はこうした関係者との意思疎通を怠った。 青森県の立場をないがしろにし海外の不信を買った。

 間際になってぶつけられた異論や懸念を踏まえて調整した結果、エネルギー戦略はつぎはぎだらけで一貫性を欠く。 「原発ゼロ」 目標と、核燃料をリサイクルする再処理事業の継続は政策的な矛盾の最たるものだ。 選挙を控え 「原発ゼロ」 を打ち出したい打算が政策判断をゆがめている。

 福島第1原発事故を経て原子力への依存は減る。 しかし原子力の放棄は賢明ではない。 資源小国の日本は積極的に原発を導入し、石油危機以降は、原子力と天然ガス火力などを組み合わせ脱石油依存の道を歩んだ。

 今は自然エネルギーをもうひとつの柱として伸ばし、電力の安定供給と温暖化ガスの排出削減をともに実現すべき時だ。 原子力の維持は国民生活や産業の安定をかなえる有用な選択肢だ。 かつての化石燃料依存に戻るのはいけない。

 廃炉と放射性廃棄物の処分は、 「原発ゼロ」 でも避けられない課題だ。 原発維持を通じて優秀な人材と技術を育て保つことが不可欠だ。 いったん散逸した人材や技術は容易には戻らない。

 世界では多くの国が原発を建てようとしている。 原子力安全や核不拡散のため日米間のより緊密な連携が必要な時でもある。 「原発ゼロ」 は日米協力に影を落としかねず、国際関係への思慮を欠く。

 「原発ゼロ」 で技術人材や国際的信頼などが回復できないまでに失われないか心配だ。 国益を損なう選択と言わざるを得ない。

日経の主張、社説である。 非情に 「汚い」、 「ずるい」 主張の仕方であり、この類を最も嫌う。 記事の最後に 「国益」 とある。 ところが、この記事の中では 「国益」 とは何かについて、全く触れていない。 自分たちのいうところのものが 「国益」 であり、その他の 「国益」 は存在しないかのような傲慢さである。
 「国益」 を考える際に、考慮するべき要素は多岐に渡る。 条件が少し変化しただけても、その内容は変わる可能性がある。 電力の問題を考える上では、コスト、CO2排出、燃料の確保、安全性などで評価する必要がある。 状況が変われば、ここに挙げていない要素も入ってくることもあり得る。 これらをうまくバランスさせた解を見つけることが求められている。 「国益」 という言葉を安易に持ち出せばよいという問題ではない。




( 2012.09.15 )
 

 政府が革新的エネルギー・環境戦略で打ち出した 「2030年代の原発稼働ゼロ」 を達成するには高いハードルが待ち構える。 政府は太陽光や風力、地熱など再生可能エネルギーの大幅な拡大を想定するが、費用負担は巨額にのぼり、立地場所の検討もこれからだ。 国際公約した温室効果ガスの削減目標の達成も難しく、国際的な信用は失墜しかねない。 核燃料サイクルが崩壊すれば、使用済み核燃料の保管場所を即座に失うことになりかねず、安定した電力供給に不可欠な原発の再稼働が遠のくことになる。




 政府の戦略では、30( 平成42 )年時点での水力を含む再生可能エネルギーの発電量を現在の1千億キロワット時から3千億キロワット時と約3倍に伸ばすとしている。 総発電量に占める割合は30%程度になる見通しだが、試算では必要な投資額は累積50兆円もの巨費を投じる必要がある。

 政府は30年の原発ゼロを実現するには再生エネの比率を35%にする必要があるとしていたが、実現には現在約90万戸に設置されている太陽光パネルを約1200万戸に拡大しなければならない。 風力も東京都の2倍近い面積を確保することが前提だ。

 政府は今後、グリーン戦略大綱をまとめ、具体策を示すが、実際に技術開発や設備投資する産業界は 「実現性は乏しい」 ( 経団連 )と批判。 官民一体の普及体制の構築は難しそうだ。




 原発ゼロが実現した場合、総発電量に占める火力の割合は65%となり、原発が稼働していた10年時点( 63% )よりも上昇する。 政府はこの日、30年時点の温室効果ガスを1990年比20%削減の目標を示したが、国際的な温室効果ガス排出削減の流れに逆行することになる。

 鳩山由紀夫政権は 「2020年に1990年比25%の排出削減」 を国際公約しているが、30年に原発ゼロを目指す場合、20年時点の温室効果ガス削減率は5~9%となり、目標に到底及ばない。

 政府は年内にも削減目標を見直す方針だが、脱原発を推進する枝野幸男経済産業相でさえ、 「日本は( 目標達成への )野心が低いと非難される恐れがある」 と懸念を隠さない。

 国内事情を理由に国際公約をほごにすれば、日本の信用失墜は必至だ。




 使用済み核燃料からウランやプルトニウムを取り出し、再利用する核燃料サイクル事業の今後の方向性については事実上先送りした。

 再処理によって生じる高レベル放射性廃棄物を青森県六ケ所村の再処理施設内に一時貯蔵している。 最終処分場の設置を引き受ける自治体が現れないまま政府は六ケ所村に頼ってきた。

 だが、原発ゼロで使用済み核燃料がなくなれば再処理施設は不要になる。

 政府は革新的エネルギー・環境戦略に 「最終処分場にはしない」 ことを厳守すると明記したが、六ケ所村は 「なし崩し的に核のゴミ捨て場となる」 と不安を募らせている。

 青森県や六ケ所村は、再処理事業を運営する日本原燃との間で 「事業が行われない場合、使用済み核燃料を施設外に搬出する」 との覚書を締結しており、それに従えば、六ケ所村に保管されている約2900トンの使用済み核燃料はそれぞれの原発に送り返されることになる。

 六ケ所村から送り返されれば、九州電力の玄海原発などは燃料プールがあふれ稼働できなくなる。

 「ゼロを目指すが、当面は稼働させる」 という政府の都合の良いシナリオは崩壊する。





 現実を直視せず、十分な検討も経ることなくまとめられた 「空論」 というほかない。

 政府は日本の新エネルギー計画の指針となる 「革新的エネルギー・環境戦略」 を決定した。 「2030年代に原発稼働ゼロ」 の実現を目指すことなどが柱だ。

 野田佳彦首相は 「困難でも課題を先送りすることはできない」 と述べたが、これに従って政策のかじを切れば、エネルギー不足の日本は亡国のふちに向かって漂流する。 速やかに撤回すべきだ。


≪日本を没落させる空論≫

 エネルギーに事欠く国や文明は存続し得ない。 歴史が証明してきた自明の法則だ。 大飯原発の再稼働に当たり、野田首相は自ら 「原子力発電を今止めてしまっては、また、止めたままでは、日本の社会は立ちゆかない」 と宣言していた。 あれは何だったのか。

 民主党政権の原発政策は、近づく衆院選を意識するあまりの無責任な迎合だ。 20年後の日本社会と国民を犠牲にして党利党略に走る姿勢は許されない。

 民主党政権が描いたエネルギー・環境戦略には、国際的な視座が完全に欠落している。 非核保有国でありながら、唯一使用済み核燃料の再処理を認められている日本の立場と責務を、野田首相をはじめ政権中枢部の政治家は誰一人、理解していなかったとみえる。

 日米原子力協定を結んでいる米国へも原発政策の満足な説明をしていなかった。 日本が原発の使用済み燃料の再処理を委託している英仏両国も唐突感のある原発ゼロ路線に戸惑いを隠さない。

 1000年に1度の大津波で、福島第1原子力発電所は炉心溶融事故に至ったが、日本の原発技術に対する世界の信頼は依然として高い。 その日本が原子力発電から撤退すれば、新規導入を目指している途上国などのエネルギー計画は大きな狂いが生じる。

 途上国が地球温暖化と資源問題に配慮しつつ経済発展を遂げようとすれば、原発は不可欠のエネルギー源である。

 民主党政権は、将来のエネルギーシナリオを国民に問うたとき、最終的には 「原発比率15%」 でまとまると踏んでいた。 しかし、意見聴取会で電力会社の社員の声を除外するなどした結果、世論はゼロに傾き、偏った。それに党内の反原発派が雷同し、収拾不能の現状に陥ったのだ。

 このまま原発ゼロ路線を修正しなければ、貴重なエネルギーだけでなく、日本が構築してきた原発技術に対する世界の信用も失うことになる。

 民主党政権の認識不足は、国内対応においても著しい。

 核燃料サイクルは、長年にわたって日本のエネルギー政策の中核として位置づけられてきた。


≪核燃料対策は泥縄式だ≫

 にもかかわらず、そのための主要施設である再処理工場や中間貯蔵施設が立地する青森県の六ケ所村、むつ市に対して十分な説明をしないまま、原発ゼロへの議論を机上で進めた。

 地元の反発に 「使用済み核燃料の再処理事業は継続する」 との方針を示したが、そもそも原発ゼロなら再処理事業に将来性はない。 長期的には大いなる矛盾だ。

 再処理事業の確実な実施が困難になった場合には、かねての協定に基づき、再処理工場の貯蔵プールに置かれている大量の使用済み燃料は、発生元の各原発に返却されることになっている。

 政府は 「安全性が確認された原発は当面、重要電源として活用する」 としているが、使用済み燃料が戻されると原発の再稼働そのものが成り立たない。

 冷静に状況を判断すれば原発ゼロは不可能だ。 野田首相は政治判断を下し、経済界などが主張するように、最低でも25%以上の選択をすべきである。 国家百年の計に属する重大事項だ。

 一時的には非難の声を浴びるとしても、国の舵を正しい方向に切るのが首相としての責務である。 「国民の過半が望んだこと」 として、責任を大衆に押しつける姿勢は無責任にすぎよう。

 「失われた20年」 に 「エネルギー喪失の20年」 を継ぎ足す愚行は何としても避けたい。 将来世代のためにも、日本を没落させる道を進んではならない。 原発のリスクは否定できないが、原発ゼロのリスクは限りなく大きい。 国民も現状の危うさに目を覚ますべきときである。







 「支持率低下で大敗が予想される民主党が、原発政策を推進できるはずがない。 民主党議員には、地元で土下座して原発を誘致した自民党議員のようなまねはできない」。 連日連夜、極秘で原発比率の見直しの会議が進められていた経産省内で、ある幹部がこう周囲に漏らした。

 原発を所管する経産省では15%が落としどころとみられていたが、政府・与党の決定は、この幹部の言う通りになった。

 民主党で、原発ゼロに最も影響力を与えたのは菅直人前首相だ。 福島第1原発事故を首相として経験した菅氏は、党内の 「脱原発」 議論を牽引けんいんする。 菅氏は党の有志議連 「脱原発ロードマップを考える会」 を4月に立ち上げ、5月には 「平成37( 2025 )年に原発稼働を完全停止する」 との提言案をまとめた。 同会は70人近くが参加し、主要メンバーが党の政策をまとめたエネルギー・環境調査会で次々と脱原発を訴えた。

 菅氏を勢いづけたのは、輿石東こしいし・あずま幹事長によるエネルギー政策に関する党最高顧問の任命だ。 2月に、消費増税議論による党内分裂を避けようと、首相経験者の菅氏に権限を与えることで融和への協力を引き出そうとしたが、火を付けてしまった。

 党幹事長からお墨付きをもらった菅氏は党内での政策提言だけでなく、7月と8月には福井県敦賀市の高速増殖炉 「もんじゅ」 や青森県六ケ所村の再処理工場を視察し、その様子をメディアに公開した。

 8月に入り、党の調査会の議論が佳境に入ると、連日のように出席。 原発停止に伴う政府のエネルギーコストや影響試算に、 「理解できない。 不適切だ」 と反論し続けた。

 そして、菅氏と二人三脚でゼロを推し進めたのが、政府のエネルギー・環境会議の議長を務める古川元久国家戦略担当相だ。 古川氏は8月30日に、党の調査会に出席し、共闘姿勢をアピールした。

 衆院選を控え、名古屋市内に選挙区を持つ古川氏は、河村たかし名古屋市長が率いる 「減税日本」 の躍進に危機感を強めている。 野田佳彦首相も消費税増税法案をめぐり、離党者が出て党内結束を高めなくてはならず、菅氏の要望を受け入れ、反原発リーダーと会談。 党内問題として原発問題を扱い、自ら原発ゼロの流れを作ってしまった。

 原発推進派の民主党幹部は 「原発ゼロは、あくまで現政権が決めただけ。 衆院選後に連立を組めば方向性は変えられる。 選挙が4年先だったら、こういう結果にならなかったかもしれない」 と語る。




 「日本で行われている議論について、米側としても関心を持っている」。 アジア太平洋経済協力会議( APEC )首脳会議が開かれたロシア・ウラジオストクで8日、米クリントン国務長官は会談した野田佳彦首相にこう切り出した。

 クリントン氏は 「原子力政策は日米にとって重要な問題。 緊密な議論を続けていかなければいけない」 とし、原発ゼロに向かう日本を牽制けんせいした。

 クリントン氏の発言に、外務省関係者は 「意外感があった」 と漏らした。 ただ、経済産業省幹部は 「野田首相や古川元久国家戦略担当相もその点は頭に入っていたはずだ」 と明かす。 野田首相はその場では説明を避けたが、政府は急遽きゅうきょ、10日に予定していた政府のゼロ決定を先送りし、12日に米国に向け、長島昭久首相補佐官を派遣した。

 「原発ゼロは、日米原子力協定に影響を与える可能性がある。 経産省や原子力の専門家なら誰でも分かる話」 と、政府内には米国との関係を憂慮する見方もあった。 だが、原発の反対運動の広がりで、日米安全保障に関わる議論は最後まで深まらなかった。

 14日夕に帰国した長島氏は、成田空港内で記者団に対し、 「1回ですむ話ではない。 専門家を含め、引き続き議論を深めていく」 として、米国との調整を継続する考えを示した。


 米国の懸念は、アーミテージ元米国務副長官ら米知日派が、8月15日に公表した 「アーミテージ・ナイ報告」 で指摘されていた。

 アーミテージ氏とハーバード大のナイ教授の共同執筆による報告は、米政権交代期に合わせた日米同盟や対日政策に関する提言書の性格を持つ。 今回の報告で注目されるのは、序文に続く各論のトップに、 「エネルギー安全保障」 の章を置いたことだ。

 「日米は、国際的にも国内的にも安全で信頼性の高い原発利用促進に政治的、商業的な利益を共有しており、原子力関係の同盟協力を再活性化すべきだ」 ──。 こうした言及は、政府の新戦略発表を予期したからにほかならない。

 報告は、福島第1原発事故後、野田首相が大飯原発3、4号機の再稼働に踏み切ったことを 「正しく責任ある判断」 と評価した。

 一方、世界最高水準の原発技術を駆使し、省エネルギーや効率化でめざましい発展をしてきた日本が、原発の維持や再稼働を断念するようでは、 「短期的にも深刻な影響を日本にもたらす」 と警告している。

 とりわけ懸念されるのは、原発ゼロが日米同盟と国際関係に与える影響だ。

 日本は米国と原子力協定を結び、平和利用に特化して原子力関連の研究開発を進めてきた。 だが、 「多くの途上国が原発建設に向かう中で、日本が原発の永続的停止に踏み切れば、国際的な原子力開発という責任を阻害」 してしまう。

 インドやベトナムなど原発建設を進める途上国に、日米が協力して安全で信頼度の高い原発や利用技術を広めていくことが、国際政治面で核不拡散に役立つとともに、日米の商業的利益にもかなう。 報告の指摘は、まさにそのことをさしている。


 福島原発事故後、原発建設を中断してきた中国は国内の新規建設を再開しつつあり、将来的に重要な 「原発輸出国」 に成長する危険性をはらむ。

 中国がロシア、韓国、フランスなどと並び、世界の原発開発国の仲間入りをする一方で、日本が原発開発や輸出を放棄すれば、米国がめざす核不拡散政策や原発企業の商業利益も失われる。 アーミテージ氏らが、 「安全で責任ある原子力利用促進は日本の包括的安全保障に欠かせない要素で、日米の同盟協力を再活性化すべきだ」 と強く求めるのも、こうした理由からだ。

 今回の報告は、同盟国の日本に、 「しっかりせよ」 と呼びかける叱咤しった激励のメッセージ性が強い。 普天間移設問題での同盟の空洞化、米海兵隊の新型輸送機オスプレイ配備の紛糾といった民主党政権下での度重なる迷走が伏線にあり、行間には知日派たちの強い焦燥感と怒り、いらだちがにじむ。 日本の 「弱さ」 と 「不決断」 が、同盟の危機的状況を招いている。


 原発比率の見直しは、落としどころとみられた「15%」から一気に「0%」へと突き進んだ。だが、原発ゼロ政策は、国民負担や経済への影響だけでなく、日米の安全保障にも関わる問題だ。目先の人気取り政策ともとれる決定は、大きな矛盾を抱え、国際的にも波紋を広げている。



 「村の実情を重く受け止め、特段の配慮をいただいたと理解する」。 青森県六ケ所村の古川健治村長は15日、青森市を訪れた枝野幸男経済産業相にこう謝意を伝えた。 政府は2030年代の原発稼働ゼロを目指すことを柱にした政府のエネルギー・環境戦略をまとめたが、使用済み核燃料の再処理は継続することにしたからだ。

 だが、言葉とは裏腹に、政府に対する古川村長の不信感は消えない。 原発ゼロであれば、使用済み核燃料から原発で使うウランやプルトニウムを取り出す再処理事業は不要なはず。 矛盾する政策がいつまで続くか、何の保証もない。 もし政府が再処理事業からの撤退を決めれば、日本原燃の再処理工場が立地する六ケ所村は最大の基幹産業を一気に失うことになる。

 実際、再処理事業が地域に与える経済的な影響は大きい。

 日本原燃は近年、毎年約100人を新規採用しており、その半分を占める高卒者の全て、大卒者の多くも地元・青森県の出身だ。

 東京の私大を卒業し、故郷で就職しようと平成9年に入社した幹部社員は 「トラブルも乗り越え、社員もやっと自信がついてきた。 原子力も再処理もない方がいいが、日本のエネルギー事情を考えればそうも言っていられない。 現実を見据えた議論をしてほしい」 と、揺れる国の政策に困惑を隠さなかった。


 2030年代の原発稼働ゼロの目標を打ち出すのに当たって、政府がもっとも神経を使ったのが核燃サイクル事業を担う青森県への配慮だった。

 政府は、新たなエネルギー・環境戦略で安全性が確認された原発については、重要電源として活用することを明記した。 関西電力大飯原発3、4号機( 福井県おおい町 )を再稼働するにあたり、野田佳彦首相は 「原発なしでは日本の社会は成り立たない」 と述べたが、その言葉通り、原発の重要性を認めたといえる。

 だが、再処理事業が打ち切られれば、30年代を待たずして原発を動かせなくなる。 青森県と六ケ所村は日本原燃との間で 「事業が行われない場合、使用済み核燃料を施設外に搬出する」 との覚書を交わしており、六ケ所村に保管されている約2900トンの使用済み核燃料はそれぞれの原発に送り返され、使用済み核燃料の保管場所がなくなるからだ。

 日本の原発稼働に大きな役割を担ってきた六ケ所村。 地元住民は使用済み核燃料の最終処理場にされ、 「単なるゴミ捨て場にされてしまいかねない」 ( 同村幹部 )との不安を募らせており、政府は地元の不安を少しでも取り除く必要があった。 枝野経産相は15日、 「青森県を( 使用済み核燃料の )最終処分地にしないという約束は厳守する」 と改めて強調してみせた。


 高速増殖炉 「もんじゅ」 ( 福井県敦賀市 )の扱いをめぐり、福井県も戸惑いを隠せないでいる。 新たなエネルギー・環境戦略ではもんじゅは今後研究炉とし、成果を確認した上で 「研究を終了する」 としたが、将来的に存続するかどうかは明確にされていない。

 燃やした量よりも多いプルトニウムを作り出せる高速増殖炉は核燃サイクルの中心的存在になるはずだった。 トラブルが続き、運転できない状態が続いているが、廃炉ともなれば、1兆円以上の資金をみすみすどぶに捨てるようなことになりかねない。

 13日に福井県を訪れた牧野聖修経済産業副大臣は、西川一誠知事に対し、 「廃炉の方向性が出ている」 と説明したが、平野博文文部科学相は14日の閣議後会見で 「廃炉とは違う」 と発言。 政府内での理解が分かれる始末だ。 「曖昧な方針を示されても県として受け入れ難い。 迷惑千万だ」。 西川知事は13日、国のエネルギー政策を批判し、牧野副大臣にかみついた。

 「踏み込んだことは書かない。 それがこの戦略のミソ」。 今回のエネルギー・環境戦略について、政府関係者はこう解説してみせた。 矛盾する政策が混在する新戦略。 この政府関係者は 「後は政治が解決する問題だ」 と話すが、戦略の決定過程を見る限り、その力量があるとはとても思えない。




 「値上げストップ! 再生エネの買い取り価格を下げるな!」。 週末になると、東京・永田町の首相官邸から霞が関の官庁街にかけて10万人以上が集まり、電気料金の値上げ反対デモが繰り広げられている。

 「毎年のように500円ずつ電気料金が上がり、ついに2万円。 省エネのために必要といわれて太陽光パネルを付けたが、余った電気の買い取り価格も下がるかもしれないと聞く」。 夫婦でデモに参加した40代の主婦はため息をついた。
 「脱原発デモ」 が起き、政府が 「2030年代の原発稼働ゼロ」 を決定した今年から18年後 ──。 平成42年に起こり得る出来事だ。

 政府試算では原発が全停止すれば、電気料金は2倍近くに跳ね上がる。 再生エネの発電電力量を3倍に増やすための送電網整備や、固定価格買い取り制度の財政負担などで、増税論議も予想される。

 各家庭は、省エネのために太陽光パネルを付けたり、断熱材を入れたりすることになるが、余剰電力の買い取り価格はずっと維持されるわけではない。 電力コストで企業収益が落ち込み、給与が下がったり、会社自体が電気料金の安い海外に移転してしまうケースも出てくるに違いない。

 政府は原発比率見直しにあたり、今年7月から全国11都市で意見聴取会を開いた。 その際、10~20代は原発比率の選択肢の中でもっとも高い 「20~25%」 を選んだ割合が、他の世代よりも高かった。 10~20代は42年には勤労世代の中核になっている。

 「だから言っただろう」。 そんな不満が漏れるかもしれない。


 「私たちはようやく、新たなスタートラインに立つことができた」。 野田佳彦首相は原発ゼロを決めた14日のエネルギー・環境会議で胸を張ったが、その先にあるのは重い国民負担だ。

 原発ゼロをめぐる決定プロセスは、極めて不透明だった。 政府は当初 「0%」 「15%」 「20~25%」 という3つのシナリオを提示した。 このシナリオに対しては、細野豪志環境相が 「15%が一つのベースになる」 と表明するなど、政府・民主党は15%を落としどころにしていた。

 ところが、関西電力大飯原発の再稼働が、政府の思惑を吹き飛ばした。

 官邸前のデモなど、 「再稼働反対」 の脱原発運動が拡大。 政府が実施した意見聴取会や8月に日本で初めて行われた討論型世論調査といった国民的議論の機会は、脱原発派の格好の主張の場になった。

 政府のまとめでは、この時期に報道各社が実施した世論調査はおおむね 「原発維持」 「脱原発」 「その他( わからない、無回答など )」 が拮抗きっこうし、 「維持」 と 「脱」 では維持が上回っていた。

 しかし、討論型世論調査では 「脱原発」 の意見が全体の約半数、意見聴取会では7割に達した。 有識者からは 「( 脱原発の )明確な強い意見を持った人が集まった結果で、国民の意見の縮図とはいえない」 ( 早稲田大学の田中愛治教授 )との慎重論も上がったが、政府はここから原発ゼロに大きく踏み込んだ。


 9月6日に出された民主党の提言も 「50年代前半」 に原発ゼロを目指すとした素案からわずか2日で、 「30年代前半」 に前倒しされた。 菅直人前首相ら脱原発の強硬派の存在が、 「党内の亀裂を避けるための折衷案」 ( 民主党筋 )を作り出し、国のエネルギー政策の方向性を変えた。

 資源小国の日本にとって、エネルギーは生命線だ。 第二次世界大戦後、日本の経済を支えてきたのは石炭だった。 その後、中東から安価な石油が供給されると、日本のエネルギーの主役は石油に移った。 石油は日本の高度成長の原動力になり、世界2位の経済大国の地位を確立した。

 その後の2度にわたる石油危機は、資源を持たない日本に打撃を与え、安定的なエネルギー源である原子力にシフトさせ、今日の日本がある。 米エネルギー省のポネマン副長官は訪米中の前原誠司民主党政調会長に、 「経済大国の日本が化石燃料を買いあされば、世界の燃料価格に大きな影響を与える」 と忠告した。

 エネルギー政策は、日本の将来を左右する重要事項だ。 だが、今回の決定は拙速で、そのプロセスにも問題があった。 民意にながされることなく、再生可能エネルギーの技術革新や、安全保障上の課題も踏まえ、政治の責任で戦略見直しに取り組む必要がある。





( 2012.09.15 )

   


 原発ゼロ目標を示した新たなエネルギー戦略を決めた政府に対し、14日、原発立地自治体の首長や住民からは 「地方はいつも翻弄される」 「矛盾する政策だ」 など厳しい声が相次いだ。

 東京電力福島第1原発事故で全域が警戒区域の福島県大熊町からいわき市に避難している門馬俊一さん( 68 )は 「一刻も早くゼロにすべきだ。 原子力政策は青森や福島など地方がいつも翻弄される」 と話した。

 九州電力玄海原発を抱える佐賀県玄海町の岸本英雄町長は 「原発ゼロと再処理継続はそもそも矛盾している。 衆院選に向けた大衆迎合的な判断に思える」 と冷ややかに受け止めた。

 佐賀県の古川康知事は14日の県議会一般質問で 「代替手段として火力発電を増強すれば二酸化炭素の削減はどうするのか。 課題解決も含めてパッケージとして示してほしい」 と国への要望を述べた。





( 2012.09.18 )
IAEA総会、
  「


ウィーンで開幕したIAEAの年次総会で演説する山根隆治外務副大臣
 国際原子力機関( IAEA )の年次総会が17日、ウィーンの本部で始まり、日本から出席した山根隆治外務副大臣は演説で、2030年代の 「原発ゼロ」 を目指す新たな政府方針を表明した。

 ただ、国際的なエネルギー情勢の変化に 「柔軟に対応できるようにする」 と語り、政府として方針を 「不断に見直す」 姿勢を強調した。

 日本の 「原発ゼロ」 に欧州メディアは冷ややかだ。 「再選を心配する党内の一部勢力に首相が屈した」 だけで、原発再稼働や見直しの余地を残す戦略は 「実際には原発推進派を励ます」 結果とも揶揄やゆされた。

 実現への決意もなく、あいまいで、選挙目当ての戦略を、日本は国際原子力機関( IAEA )総会という国際舞台でも説明してしまった。 朝令暮改のような “原発ゼロ騒動” によって、日本の信頼がどれほど傷ついただろうか。






 


 国際原子力機関( IAEA )の年次総会が17日、ウィーンの本部で5日間の日程で始まった。 山根隆治外務副大臣は演説で、2030年代の原発稼働ゼロを目指す方針を打ち出した新エネルギー戦略や、19日に発足する原子力規制委員会について説明。 再生可能エネルギーの開発に全力で取り組み、原発依存度を減らす方針を表明した。
 副大臣は、原発に依存しない社会の実現は 「長い道のり」 と指摘。 国際的なエネルギー情勢の変化に柔軟に対応しながら原発からの脱却を進めると理解を求めた。 また、原子力規制委は推進機関から 「完全に分離する」 と語った。
 総会では、東京電力福島第1原発の事故を受け、IAEAが原発の安全性向上に向けた行動計画を策定してから1年になるのを踏まえ、実施状況を協議する。
 天野之弥事務局長は冒頭演説で、 「福島の事故の最も重要な教訓は、原子力の安全性にはるかに強く焦点を合わせる必要があるという点だ」 と強調。 行動計画の策定後、加盟国が原発の安全性を相互評価するピアレビューの拡充や安全基準の体系的見直しなど、安全強化で進展があったとの認識を示した。 また、福島の事故に関する包括報告書を2014年にまとめる方針を明らかにした。





( 2012.09.15 )

 


 枝野幸男経済産業相は15日、Jパワーの大間原子力発電所( 青森県大間町 )と、中国電力の島根原発3号機( 松江市 )の建設継続を容認する考えを表明した。 ただ、大間原発などが稼働すれば、廃炉は2050年代にずれ込む。 30年代に原発稼働ゼロをめざす政府方針と整合性がとれず、政策は早くもほころびが広がり始めた。
 「( 建設の )許可を取り消すとか、新たな手続きを加えるとかいうことは考えていない」。 枝野経産相は青森県の三村申吾知事らに対し、東日本大震災後に工事を止めている着工済みの国内原発について、建設の再開を容認する考えを閣僚として初めて示した。

 大間原発の建設を08年から進めているJパワーは同日、 「安全強化対策を運転開始まで確実に実施し、より安全な発電所となるよう全力で取り組む」 とのコメントを発表。 島根原発3号機は工事の9割以上を終えており、中国電力は 「運転開始に向けて安全確保に万全を期し、地元の了解を得たい」 としている。

 しかし、政府が決めたエネルギー・環境戦略は (1)原発は40年廃炉 (2)新増設はしない ―― が基本原則。 経産相は大間原発を稼働させるか否かの判断を原子力規制委員会の判断に委ねる意向だ。 仮に10年代半ばに稼働すれば、40年後の廃炉は50年代半ば。 政府の原発ゼロ方針と大きく矛盾する。

 もしも30年代に稼働を止めれば、事業者が投じた莫大な建設資金を回収できなくなる懸念がある。 この点について経産相は 「( 原発ゼロを )可能にできるよう最大限のことをやっていく。 すべてはそこから先の話だ」 と明確な方針を示さなかった。

 30年代に原発稼働がゼロとなれば、原発から出る使用済み核燃料を再処理して燃料を取り出す必要性も早期に失われる。 同日の会合では青森県むつ市の宮下順一郎市長が 「( 原発稼働が )ゼロになったときの再処理のあり方はどうなるのか」 と政府側にただした。 同市では、全国の原発で発生する使用済み核燃料を一時保管する中間貯蔵施設が建設中だ。

 経産相は 「( 両立は )困難ということは認識している」 などと苦しい回答に終始。 また 「( 原発稼働を )ゼロにするために( 地元自治体との )約束を破ることはない」 とも述べ、核燃サイクルの維持を 「原発ゼロ」 の目標よりも優先する姿勢も示唆した。

 青森県の自治体が使用済み核燃料の受け取りを拒否すれば、全国の原発敷地内が使用済み燃料ですぐに満杯になり原発の稼働が困難になる。 事前調整を怠ったままの拙速な政策決定の矛盾が早くも露見している。





( 2012.09.22 )


 「2030年代に原発ゼロを目指す」 という野田佳彦政権の新エネルギー戦略に対し、英仏や同盟国の米国がこぞって疑問や懸念を突きつけた。 この光景に 「どこかで見たような?」 というデジャビュ( 既視感 )にとらわれた人が多かったのではないか。

 思いだすのは2007年夏から秋のことだ。 日本の海上自衛隊が対テロ国際貢献の一環として行ってきたインド洋での補給支援活動の継続問題で、当時の民主党がとった定見なき行動である。

 米中枢同時テロ以来、約6年間続いた海自の活動は、日本の重要な貢献として国際的に評価されてきた。 だが、国会でテロ対策特別措置法が延長されない限り、同年11月1日には期限が切れる。




 この問題で、民主党は当時の小沢一郎代表らが参院の 「ねじれ」 を利用して特措法の延長を拒み、活動停止に追い込んだのだ。

 07年8月8日、当時のシーファー駐日米大使が小沢氏と会談し、補給支援の意義を訴えた。 同30日には、来日したメルケル独首相も小沢氏に継続を要請した。 さらには9月下旬と10月末の2度にわたり、米加など12ヵ国の在京大使らが国会議員らに 「日本の貢献は日本の安全だけでなく、世界の安全にも必要だ」 とアピールした。

 それなのに、小沢氏らは 「補給支援は国連決議に基づく活動でない」 との持論に固執し、 「日本の平和・安全と直接関係のない場所へ部隊を派遣し、米国などと共同作戦はできない」 と大使らの要請を最後まで突っぱねた。

 今回の 「原発ゼロ」 方針も、クリントン米国務長官や在京の英仏大使らが 「関心」 や懸念を日本政府に伝えただけではない。




 訪米した民主党の前原誠司政調会長には、ポネマン・エネルギー省副長官が 「米国にも重大な結果を与える」 「第3位の経済大国日本が( 脱原発で )石油を買いあされば、国際価格に響く」 などと具体的な警鐘を鳴らしている。

 07年の民主党は野党だったが、責任ある政権与党たる今も、国際社会の助言に耳を貸そうとしない姿勢は変わらないようだ。

 補給支援停止の際、米側は 「重要な安保政策を国内政争の具にして日米同盟の絆を弱めた」 と不満を強めた。 選挙対策の観も強いとされる今回の 「原発ゼロ」 も同じ結果を招く恐れが少なくない。

 そうした懸念の第1は、8月に公表された米知日派の 「アーミテージ・ナイ報告」 が指摘したように、 「原発ゼロ」 が日米同盟や両国の利益を損なうことだ。

 日本は米国との原子力協定を通じて、平和利用技術の研究開発を深めてきた。 その結果、今や米国も主要な原発関連技術を実質的に日本に頼っている。 インドやベトナムなどの途上国に、安全で信頼度の高い原発を普及していくことが核不拡散政策を強化し、日米両国の商業的利益にもつながる。

 日本が一方的に研究開発を投げ出せば、米国も共倒れになる。 ポネマン副長官の懸念も、平たくいえば 「同盟国なのに勝手すぎる」 ということだ。

 それが中国の原発大国化に手を貸す恐れもある。 ウィーンの国際原子力機関( IAEA )総会で、日本は 「原発ゼロ」 方針の説明に終始したが、対照的に中国は原発建設に積極姿勢を貫いた。

 日米の原発に代わって、核物質の軍事転用を防ぐ拡散防止技術に乏しい中国型原発が途上国に広がるとすれば、国際安全保障上も深刻な事態が心配される。

 今年4月、米国のシンクタンク 「新アメリカ安全保障センター」 がまとめた 「中国の挑戦」 と題する報告は、原子力が日米にとって不可欠の基盤的エネルギー源で、 「両国の原発政策の食い違いを放置すれば、同盟の亀裂を招きかねない」 とも警告している。

 軍事・外交面だけでなく、エネルギー戦略面でも中国の台頭に日米が一体で取り組む必要がある。 それでなくとも、民主党政権は普天間飛行場移設問題を迷走させ、海兵隊の新型輸送機オスプレイ配備でも遅れるなど、同盟を空洞化の危機にさらしてきた。




 尖閣諸島をめぐる日中の緊張が高まっているが、普天間移設や米軍再編を完了した上でオスプレイ配備を進めていれば、中国に対する抑止の実効性もずっと高まっていたに違いない。

 同盟国や国際社会に加え、日本の経済界、労働界指導者も 「原発ゼロ」 に明確な反対を示した。

 野田氏は党代表選で再選は果たしたものの、安全で信頼される原発の普及を求める世界の潮流を根本的に読み違えているのではないか。 同盟を損なう 「原発ゼロ」 を直ちに見直し、世界的視野で同盟協力強化に転じる決断がほしいと思う。





経済を破壊、国民生活不便に

 原発ゼロは電力の安定供給の面でも、エネルギー安全保障の面でも将来に重大な禍根を残しかねない。 原発を代替する再生可能エネルギーの普及は一朝一タには行かず、政府が掲げている普及目標は極めて非現実的だからだ。 現実的な対策がまだ追い付いてきていないのに、政府・与党は選挙を意識してか、脱原発に急ぎすぎている

 原発をなくせば関連技術が失わね、日本の産業の国際的な競争力は低下する。 関連メーカーや電力会社の経営にも大きな打撃を与え、雇用の喪失も予想される。 極端な省エネ規制が導入されれば、国民生活も不便になる。

 また、政府は再生エネ普及までの間、 「安全性が確認された原発を重要電源として活用する」 方針だが、将来廃止される原発に誰が十分な安全投資をするだろうか。 脱原発を宣言することは、足元の再稼働への不安を高める結果になる。

 一方、今回の戦略では脱原発に伴い、 「2020年に1990年比25%の温室効果ガス削減」 という 鳩山由紀夫政権の国際公約を事実上撤回した が、民主党政権は重要政策でのブレが激しすぎる。 25%削減自体が無理難題だが、25%を目標に省エネ投資を行っている企業も多く、こうした努力を裏切ることになる。

 本来、政府の政策の目的は、経済を成長させ、国民生活を守ることにある。 しかし、経済を破壊し雇用を失わせ、国民生活を不便にしてでも脱原発を目指すというのは、政策目標をはき違えている。





( 2012.10.03 )

 


 原発ゼロを目指す一方、使用済み燃料の再処理を継続する 「革新的エネルギー・環境戦略」 を打ち出した日本政府に対し、米政府が、再処理で得られる核物質プルトニウムの保有量を 「最少化」 するよう要求していることが3日、分かった。

 核兵器に使用できるプルトニウムの消費のめどが立たないまま再処理路線を続ければ、核拡散上の懸念が生じるため、米側は、再処理を認めた日米原子力協定の 「前提が崩れる」 とも表明した。 日米両政府の複数の当局者が明らかにした。

 日本の核燃料サイクル政策の後ろ盾である米国が、整合性のない新戦略の矛盾を指摘した格好。


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