( 2011.02.14 )


 便



 鳩山由紀夫前首相が沖縄県地元紙のインタビューで、米軍普天間飛行場( 沖縄県宜野湾ぎのわん市 )の 県外移設を断念する理由として 「在沖縄海兵隊の抑止力」 を挙げたことを 「方便だった」 と語った。 民主党政権の外交・安全保障政策の信頼性を著しく損ね、政府の沖縄県との移設交渉はさらに難航するのは確実。 ただでさえ国会運営に行き詰まり、内閣支持率の低迷で青息吐息あおいきといきとなっている菅直人首相にとって鳩山氏は最大の 「難敵」 と化している。

 「( 鹿児島県 )徳之島もダメで( 沖縄県名護市 )辺野古となったとき理屈付けをしなければならなかった抑止力は方便 といわれれば方便だが、広い意味で使えると思った」

 鳩山氏は13日付の琉球新報、沖縄タイムスのインタビュー記事でこう語った。

 鳩山氏は昨年5月4日、首相として沖縄訪問し、県外移設断念を表明。 その理由を 「学べば学ぶにつけ、海兵隊のみならず、沖縄の米軍がすべて連携しており、その中で抑止力が維持できる」 と説明した。 これが 「方便」 にすぎなかったというわけだ。

 琉球新報は激高し、社説に 「これほど言葉の軽い政治家を見たことがない。 そして自らの言葉に無責任な人も。 万死に値する」 と記した。

 慌てた鳩山氏は14日、都内で記者団に 「『 方便じゃないですか』 と聞かれたから 『そう言われたらそうかもしれない』 と答えた」 と釈明。 「後付けで学んでいくとこういうふうに解釈できるな、という発想で言った」 とも語った。

 政府は火消しに躍起となった。 首相は14日夜、記者団に 「海兵隊を含む在日米軍全体はわが国の安全に重要な役割を果たしている」 と強調。 枝野幸男官房長官も 「海兵隊が沖縄にあることが極東の安全に寄与する」 と語った。

 鳩山氏は昨年6月の首相退陣時に任期限りの引退を表明し 「首相たるもの影響力を( 退任の )その後行使しすぎてはいけない」 と語った。 にもかかわらず 引退を撤回し、首相の足を引っ張る形でひたすら影響力を行使 する。 事例は枚挙にいとまがない。

 首相が民主党の小沢一郎元代表の排除を狙うと小沢氏と連携して対抗。 沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で日中間がぎくしゃくすると 「( 日中関係は )私の首相時代に非常によくなってきた」 とあてこすった。 党執行部がマニフェスト( 政権公約 )見直しを検討し始めると衆院解散の必要性に言及。 首相がメドベージェフ露大統領の国後島訪問を 「許し難い暴挙だ」 と批判すると 「強硬姿勢ばかりではダメだ」 といさめた。

 首相の施政方針演説も 「( 自らが提唱した )東アジア共同体構想のメッセージが消えた」 と皮肉り、自らを 「平成の脱税王」 と呼んだ与謝野馨経済財政担当相の起用にも強い不快感を表明した。

 なぜ鳩山氏は首相の後ろから鉄砲を撃つような発言を続けるのか。

 鳩山氏周辺は 「菅氏は副総理だったのに鳩山氏が普天間で一番苦しんでいる時に『われ関せず』と逃げ、ちゃっかり後継に納まったからだ」 と打ち明ける。 「私と小沢氏が身を引いたから首相になれた恩を忘れている」 との思いもあるようだ。 ある野党幹部は 「鳩山氏は民主党のオーナー意識が抜けない。 消費税率引き上げなど自分が示した方向と異なることをやるのは許せないのだ」 と解説する。

 今月9日、鳩山氏は日印関係の国際会議への協力要請のため、安倍晋三元首相と会談した際、首相についてこう愚痴った。

「あの人は本当に何を考えているのか。 変な人です。 せっかく( 自分の政権で )よいことをやっていたのだから、それを続けていただきたい」


鳩山由紀夫前首相の菅政権批判発言
平成22年9月10日野党とのパーシャル( 部分 )連合を
「そんな甘い話が現実になるとは思えない」
( モスクワで記者団に )
25日尖閣事件の政府対応を
「証拠として早く( 漁船が衝突した時の )ビデオを見せるべきだった」
( 京都市で記者団に )
10月21日TPP参加を
「むやみやたらと関税を撤廃していいという話にはならない」
( 民主、国民新両党有志議員による会合 )
平成23年1月16日枝野幸男氏を官房長官に起用した内閣改造を
「昨年の参院選で負けた幹事長だ。 責任を半年で忘れていいのか。 首相が最強の内閣と胸を張るほど国民は期待していない」
( ニューデリーで記者団に )
菅直人首相らのマニフェスト修正発言に
「マニフェストを大いに変えるとすれば選挙で訴えなければならない」
( 同 )
30日小沢一郎元代表の国会招致問題について
「こんな党をつくったつもりじゃなかった。 友達同士を大切にする民主党にしていかなければならない」
( 名古屋市の街頭演説 )
2月10日メドベージェフ・露大統領の国後島訪問を菅首相が 「暴挙」 と批判したことに
「相手の気持ちを損ねないようにしないと交渉にはならない」
( 自民党の森喜朗元首相との会談 )





便
 


 
 

 鳩山由紀夫前首相が、明らかにした普天間撤去・移設問題の“真相”のことだ。
 政治家の言葉の軽さ、政党の約束の無意味さ。 そして、この国を動かす主体は首相や閣僚、政治家ではなく 「官僚」 であることを、前首相は明確に証言した。


万死に値する大罪

 この国の民主主義の底の薄さ、基盤の危うさを知った今、国民は日本を真の民主主義国家とするために早急に政治・行政改革に取り組む必要がある。
 鳩山民主党代表が普天間問題で、普天間飛行場の移設先は 「国外、最低でも県外」 と公約したのは紛れもない事実 だ。 だが、総選挙で大勝し、政権交代を実現するやわずか8ヵ月で 「国外、県外はやはり無理」 と、県内・辺野古案に回帰し、県民の怒りを買い、政治不信を招いた。
 辺野古回帰の理由を問われ 「学べば学ぶほど( 海兵隊や各部隊が )連携し抑止力を維持していることが分かった」 と語った。
 「海兵隊抑止論」 が、沖縄に海兵隊の継続駐留を認め、普天間基地の辺野古移設を正当化する論拠とされた。
 だが、それから8カ月後、鳩山氏は 「辺野古移設しか残らなくなった時に理屈付けしなければならず、『抑止力』という言葉を使った。 方便と言われれば方便だ」 と、あっさりと認めた。
 これほど言葉の軽い政治家を見たことがない。 そして、自らの言葉に無責任な人も。 政治音痴の素人政治家が国を動かし、国民を翻弄ほんろうし、政治不信を高める。 万死に値する大罪だ。
 鳩山氏が論拠に挙げた 「抑止力」 は 「ユクシ( うそ=沖縄方言 )力」 であると、沖縄県民の多くが指摘し、やゆしてきた。  米国防長官すら 「海兵隊の機能」 を疑問視し、米軍幹部ですら 「有事の米国民救出」 を第一の機能と明言し、米議会は 「海外駐留削減と海外基地閉鎖」 の論議を始めていることを、県民は知っている からだ。
 知らないのは鳩山氏と民主党政権の閣僚、そして米国追従が国是と自己保身的に信じる防衛、外務省を中心とする官僚らだ。
 首相を辞め、正直に語れるようになった鳩山氏は 「抑止力」 は方便で、県内回帰のための後付けの説明と認め、謝罪した。  鳩山氏は公約実現に否定的な北沢俊美防衛相、 「県外」 公約自体を否定する岡田克也外相( 現幹事長 )、くい打ち工法( QIP )で辺野古移設を進言する岡本行夫・元首相補佐官の存在なども、辺野古回帰の要因と語っている。


官僚主導政権の限界

 官僚については 「防衛省も外務省も沖縄の米軍基地に対する存在の当然視があり、数十年の彼らの発想の中で、かなり凝り固まっている」 と指摘している。
 そして首相でありながら官僚、閣僚すらリードできなかった自らの力量不足を敗因と認めている。
 事は謝罪で済む話ではない。 辺野古回帰の論拠の 「抑止力」 は方便で、本当の理由は 「閣内不一致」 と 「官僚の壁」、自身の 「力量不足」 と証言した からだ。
 指導力を欠き、官僚に翻弄され、身内の閣僚からも見放される。 明らかに首相になってはいけない人が、この国を担う。 民主党政権の限界も露呈している。
 普天間問題の解決策は 「オバマ大統領との直接対話」 と指摘した鳩山氏だが、それすら官僚の壁に阻害され、不発に終わっている。
 民意に沿おうとする首相が、沖縄への基地の過重負担を当然視し、対米追従を是とする官僚に牛耳られ、辞任に追い込まれる。 これが、日本の議会制民主主義の現実。 官僚主導政権の実相である。
 米国の論理に洗脳された官僚たちの言い分を検証もせず、辺野古移設を主張する菅直人首相の不作為の罪はより重罪だ。
 辺野古移設の根拠となった 「抑止論」 のうそが明らかになった今、菅首相はこの国の政治を 「官」 主導から 「菅」 主導に転換し、普天間の県外撤去のみならず、在沖米軍、在日米軍の駐留見直しに着手すべきだ。





 !!
鹿
 




  「抑止力は方便だった」 という言葉の軽さには、ただただあきれるばかりである。 言う言葉がみつからない。
  「最低でも県外」 「常時駐留なき安保」 「対等な日米関係」 「政治主導」。 いずれも鳩山氏の政治家としての信念に根ざした主張だった。
 実行に移そうとすれば、米国との摩擦、官僚との摩擦は避けられない。
 鳩山前首相はその備えもないまま米国や官僚と相まみえ、壁にぶつかっては跳ね返され、閣内をまとめることもできず、迷走を続けたのはご存知のとおり。

 鳩山氏は09年5月の日米合意をめぐり、移設先が結局従来案通りの沖縄県名護市辺野古という情勢になった際に 「理屈付けをしなければならなかった」 などと答えた。
 鳩山氏は当時、 「日米同盟関係、近隣諸国との関係を考えた際、抑止力の観点から難しいという思いになった」 などと県外移設断念の理由を説明していた。
 しかし、その 「抑止力」 「( 結論が出た後の )理屈付け」 「方便」 だったと、当時首相だった人物があっけらからんとしゃべってしまったのだ。
  「これほど言葉の軽い政治家を見たことがない」 ―― 琉球新報社説は、鳩山氏に対しこうあきれつつ、政治不信を高めるとして 「万死に値する大罪だ」 と断じている。


「私は方便でクビ?」 ( 社民・福島瑞穂党首 )
そぉ~だよ。
 こんな単純なことも理解できない?!







 


 国の行方を左右する重大な決断の理由をいまになって 「方便だった」 と語った。 世間がびっくりして騒ぐと、今度は 「方便とは真理に導くための手段のことだ」 とおっしゃる。
 「ウソも方便」 という言葉しか知らない浅薄さを恥じて辞書を開いたら、仏教用語で方便とは 「仏が衆生を教化・救済するために用いるさまざまな方法」 ( 『大辞林』 から ) とある。
 さすがは宇宙人、いや仏様のような方だ。 凡人が知らない言葉を事も無げに語られる。
 してみると、昨年6月の首相退陣時に任期限りの引退を表明し 「首相たるもの影響力を( 退任の )その後行使しすぎてはいけない」 と語りながら、いとも簡単に前言を翻したのにも深い訳があるに違いない。
 民主党なる綱領を持だない政党内では、党員は共通の理念を持ちえない。 綱領はそのときにトップにいたり、影響力がある人物が体現する。 その時々や場面、立場で 「鳩山由紀夫」 であり、 「小沢一郎」 であったり、 「菅直人」 が綱領となるのだろう。
 しかも日本の政治史に燦然さんぜんと輝く名家の血を引いたやんごとなきお方。 首相の座、党代表の座を退いてもなお、自らがまわりの者を導かねばならぬと気付いたのでしょう。 仏様のごとく高邁こうまいなる思いから、迷界にある衆生をマニフェストが描く極楽浄土へ導こうとなされる。