TPP( 環太平洋経済連携協定 )とは、加盟国間で取引される全品目について関税を撤廃しようというもので、現在アメリカおよび経済的弱小国8ヵ国が参加予定だ。 主導権を握ったアメリカは、このメンバーではオバマ大統領の悲願 「 輸出倍増、雇用拡大 」 は達せられないと2010年、日本に参加を要請してきた。 菅首相は無邪気にも 「自由貿易推進」 の言葉に酔い早々と参加を表明した。 「 平成の開国 」 などと威勢よくぶち上げたが、関税を撤廃されては壊滅しかねない農業界などの反対もあり棚上げされていた。 それが野田首相の 「 11月のAPEC開催までに態度を決定する 」 との発言で一気に息を吹き返した。
 これに日本が加った場合、全加盟国のGDPの9割を日米が占めるうえ、日本はすでに加盟予定9ヵ国のうちの米豪ニュージーランドを除く6ヵ国と二国間協定EPAを結んでいるから、日本にとってTPPとは日米自由貿易協定と思ってよい。 ところがアメリカエ業製品に課している関税はほとんどが数%で、0%になったところでちょっとした円高で吹っ飛んでしまう程度のものだ。 米や牛肉の値段は半分以下になるが苦しんできたデフレがさらに進む。日本にとってメリットは少ない。 一方アメリカは農産物の大幅な輸出増が見込める。 しかしアメリカが日本の参加にこだわる狙いは別にある。
 TPPは 「 2015年までに農産物、工業製品、サービスなどすべての商品について、例外なしに関税その他の貿易障壁を撤廃する 」 ことを目標としていることだ。 税自主権の放棄とも言える途方もないものだから中韓も参加しない。 重大なのは 「サービス」金融、法律、医療、労働、保険、公共事業 などまでが含まれていることだ。 国内規制は片端から非関税障壁として撤廃を求められるだろう。 虎の子の個人金融資産1200兆円は外資に掠めとられ、国民皆保険は保険業参入の非関税障壁として壊され、外国企業の公共事業参入で地方は荒廃し、安価な外国人労働者の大量流人で失業率が激増する、というとめどない危険を秘めたものである。 TPPの本質は農業や関税の問題ではない。 規制撤廃により何もかも市場に委ねる、という 市場原理主義、強欲資本主義による日本の構造改革を迫るもの なのだ。 リーマンショツクから現在のユーロ危機に至る経済危機、格差拡大による社会の不安定化などを見るとこの主義は明るい未来を描けるようなものではない。 現にこれに不満をもつ大衆によるデモや暴動が、それを推し進めてきた英米で始まり世界各地で起きている。
 人類は人間を決して幸せにしない市場原理主義に訣別すべき時に至っている。 なのに大新聞などほぼすべてのマスメディアは、なぜかサービスなどには触れず論点を農業問題にすり替えTPPに大賛成だ。 「早く加盟してルール作りに参加しろ」 と言う。 どこが日本の味方になってくれるのか。 加盟しないことが最善なのだ。 これまで通り韓国などと同様、例外品目を認める二国間協定FTAやEPAを増やしていればよい。 戦前、聖戦をこれでもかと煽ったのはマスメディアだった 今またTPPの本質を隠蔽したまま一糸乱れぬ賛成の大合唱だ 壮観だ。